アメリカ 1995
監督 ウォルフガング・ペーターゼン
脚本 ローレンス・ドゥウォレット、ロバート・ロイ・プール



アフリカ奥地で発生した未知の伝染病がアメリカで蔓延するのを食い止めようとする軍医の奮闘を描いた、ウィルスパニックもの。

いやもう文句なしに面白いです。

似たような作品は過去にもいくつかあったように思いますが、90年代の映画であることを鑑みるなら、頭抜けた出来、と言っていいんじゃないでしょうかね。

未知のウィルスをどう攻略していくか、科学的論考を積み重ねた知的な謎解きみたいなのはほぼない(物語の骨子がそれを必要としていないから)んですが、そんなの全然いらない、って思えるぐらいドラマ作りがうまい点に、まず私は感心。

ストーリーの核となってるのは、型破りな軍医のアンチヒーロー的独断専行をいかにヒロイズムに満ちたものとして見せるか、だと思うんですが、実はこれよくよく目を凝らすと、自分に与えられた役割を策謀や浅ましい思惑に振り回されず、職務に忠実に貫き通すプロフェッショナリズムの体現を描写したもの、だったりするんですよね。

やはりですね、組織に属しているとなかなか言いたいこともいえないし、やりたいことをやろうと思えば偉くなるしかないのが普通。

ましてや軍隊。

上官の命令は絶対です。

逆らえば反逆罪。

でも主人公は1人のプロとして己の信念を貫こうとする。

決して超人でもスーパーヒーローでもない中年男が、自分にやれることをとことんやりとおす姿に、胸打たれないはずもなく。

そりゃこんな横紙破りな軍医は絶対居ない、といわれればそれまでですけどね、私は主人公サムの行動に、思わず自分のていたらくぶりを反省したくなったりもしましたね。

また、ウィルスを食い止める、という本筋以外にも、いくつものサブストーリーが横糸として絡んでるのも実に見事で。

さりげないワンシーンに涙腺直撃されること数度。

白眉は終盤でサムがヘルメットを脱ぐシーンかとは思うんですが、名も知れぬ家族が母親を隔離されるシーンなんかも現実味の底上げに恐ろしいまでの効果を発揮。

なんでこんな場面で嗚咽をもらしそうになってるんだ俺は、と自分をいぶかったり。

主演のダスティン・ホフマンがこれまた熱いんですよね。

火を吹くような演技、とでもいいますか。

そこに気持ちを持っていかれた、ってのも確実にあった。

128分の長丁場を、ダレないよう、退屈しないよう、たたみかけるかのごとくシナリオ展開させた手腕も素晴らしい。

一切、緊張感が途切れないんですよ、これが。

1級品のエンターティメントでしょう。

スリルあり、感動あり、アクションありの、まさにこれぞ映画と言いたくなる1本。





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