デンマーク/イギリス 2009
監督 ニコラス・ウィンディング・レフン
脚本 ニコラス・ウィンディング・レフン、ロイ・ヤコブセン



諸作を追えば追うほどいかに「ドライヴ」がイレギュラーだったのか、実感させられるレフン監督だ。

人々の娯楽のため、闘奴として鎖につながれた男のあてどない放浪の旅を描いた作品ですが、いやーもう、さっぱりわけがわかりません。

ものの見事に観客突き放してますね、これ。

そもそもが時代も背景もその舞台すらも謎のまま淡々と物語が進んでいくものですから、なにもかも全て想像するしかないんですが、 中盤までで私が理解できたのは、キリスト教による布教が題材になってて奴隷が居るから紀元前の話かなあ、ぐらい。

また登場人物のセリフがいちいち観念的で難解で。

どいつもこいつもいったい何を言ってるのだ、と。

でもって主演のマッツ・ミケルセンがこれまたさっぱりしゃべらない。

序盤に二言三言しゃべった後、ずーっと無言。

主人公、何を考えてるのかさっぱりわからない上、なにを目的として行動しているのか、まるで理解の外側。

気分的にヤケクソになってるのか、それとも傷心を抱えてるのか、単にバカなのか、それすら見えてこない。

終盤及びオチに至っては、それがさらに加速して、哲学なのかよ、とつっこみたくなるような様相すら帯びてくる。

北欧神話に詳しい方々は主役が隻眼であることからマッツ演じるワン・アイにオーディンを当てはめ、タイトルであるヴァルハラから、死して戦士の魂となりラグナロクに備えることがこの作品の重要な意味解きになる、と考えておられるようですが、それね、言われなきゃわかりませんって、ほんと。

また、仮に北欧神話を持ち出してきたとしても到底全てを納得することは不可能、と思えるのがこの作品のやっかいなところ。

こんな映画撮ってたら干されるぞ、とマジで思ったりもするんですが、北欧の映画業界はまた事情が違うんでしょうかね。

赤と青にこだわった鮮烈な色彩感覚や、妙に生々しく血飛沫舞い散る格闘シーンに独自性を感じはするんですが、とりあえず、これをおもしろかった、興奮した、といえるほど私の感性は若々しくないです。

なにを描こうとしていたのか、なにを含んでいるのか、あれこれ想像して考えるのが好きな人向けの作品ですね。

私には色々無理。





movie