2010年初出 本田真吾
秋田書店チャンピオンコミックス 1~13巻(以下続巻)



ある日突然、地の底から湧いて出てきた巨大クリーチャーに襲われる東京を描いたモンスターパニックものであり、サバイバルSF。

一連の怪獣ものと違うのは、クリーチャーが片っ端から人を食っちゃう、って点ですかね。

漫画の世界でこういう試みをした作品、ってあまりないように思います。

映像で言うならまさにジャンル映画って感じでそれこそ有象無象の心当たりは大量にあるわけですが、焦点となるのは漫画と言う形式でそれ以上のものが出来るか、もしくは漫画ならではの表現が出来るか、でしょうね。

とりあえず6巻ぐらいまでの進行は少年漫画とは思えぬスリル、緊迫感に満ちていたように思います。

もはやクリーチャーの猟場と化した東京立川の町を、危地をくぐりぬけ、主人公の高校生は幼馴染の元にまでたどり着くことが出来るのか、これ、大人が読んでも充分感情移入できるものがあったし、ドキドキハラハラさせられるものがあった。

問題は幼馴染と合流を果たして以降の展開でしょうね。

クリーチャーに対する政府の対応、軍部の対応がミステリアスなのを通り過ぎて、だんだん妙に子供っぽい様相を呈してくるんです。

なんか70年代のヒーローアニメでも見てるような感じになってくる、とでもいいますか。

とりあえず、私が完全に意気消沈したのは生身の人間がクリーチャーと融合して超人化、ばったばったと敵をなぎ倒す方向へ物語が進んだあたり。

さすがにこれはないだろう、と。

これまでのリアリズムに徹した流れを台無しにする暴挙に目は点。

まあ、それでもね、第一部終了間際の展開は、なんだこれ永井豪か、と言いたくなるなるようなハルマゲドン的スケール感があって、まあ悪くはなかった。

ひょっとしてこの物語って日本各地に伝わる「だいだらぼっち伝承」をモチーフとしたものだったのか、なんて考え込んだりもして、盛り返してきたか、なんて思わせるものもあった。

しかし肝心のエンディングで再び作者は妙なひっくり返し、オチを用意してて。

ドラマの構造上、主人公と幼馴染、そして白崎さんの三角関係の精算をクライマックスに重ね合わさなきゃいけなかった、と私は思うんです。 

それがなぜかストーカーの変態教師が場の全てを持っていく捨て身のヒーローとしてクローズアップ。

なぜ、変質者を最後に善人として神聖化してやらにゃあならんのか、と。

で、肝心の三角関係は幼馴染のたったヒトコマのセリフで終結、というわけのわからなさ。

うーん、ドラマ作りが下手すぎる。

怪作ですね。

おもしろいかと思いきや、突然トンデモ、の繰り返し。

現在時間を遡って第2部大阪編が連載されてるみたいですが、私はもういいですね。

仕掛けは良かったんですが、せっかくかかった魚(読者)を取り込む方法がいささか未熟、といったところでしょうか。 

なかなか神の獣みたいな怪獣漫画は出てこないもんですね、やっぱり。



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