ルーマニア/フランス 2015
監督、脚本 コルネリュ・ポルンボイュ



元々ドキュメンタリーにしようと考えて企画された作品らしいんですが、途中からフィクションに変更。

ベースになっているのはこの映画のキャストでもある人物の実体験だとか。

まーなんとも不思議な感触の映画です。

シナリオだけに着目するなら別段説明に苦慮するような起伏もなく、いたってシンプル。

祖父が産めたらしき宝を掘るから手伝わないか、と持ちかけられた隣人が、その話にのって二人で穴掘り、以上。

こんなプロットで、映画化したいんです、って持ちかけても、相手にしてくれるところはおそらく欧米には存在しないであろう。

それを、だからいいんだ、と歓迎すべきなのか、懐疑的に受け止めるかは見る側次第。

全編に漂うのは示し合わせたかのようなオフビート感。

私が最後まで見て非常に驚かされたのは、登場人物が誰一人として一切笑顔を見せてないこと。

これが20数年前まで共産主義国だったルーマニアの国民性なのか、演出として意図するものだったのかのはわかりませんが、誰も笑わないことにことによる妙なおかしさ、が反意的に産まれていたことは確かですね。

ただ、それを鋭敏に感じ取って楽しい、と思えるのは結構な映画通だけ、という気も。

私はこれ、笑うべきなのか、それともシリアスに受け止めるべきなのか、戸惑った部分は若干ながらあった。

そもそも監督は笑わせようとしていたのか?という点からしてよくわからなかったりはするんですけど。

やたらデティールにこだわってるのも作品の風変わりな質感を加速。

中盤で金属探知機を主人公がいじくるシーンがあるんですけどね、3D画像を表示させるために業者と二人して延々ああでもない、こうでもない、とマシンをいじくりだすんです。

あ、いや、そのボタンだ、いや、保存して、ちょっと貸してみて、みたいな感じで。

どう考えても普通なら編集でカット。

つーか、撮ろうとしないと思う。

類似傾向にあるシーンは他にも結構あって。

いや、リアルなんですよ、凄く。

でもそれ、いらねえだろ、と失笑してしまうというか。

で、肝心のオチなんですが、これがまたなんともどうとらえていいのか悩むシロモノでして。

え、切羽詰ってたんじゃないの?と現実感のなさに首を傾げることは必至。

これを素直に素敵!と言い切るにはそれまでの文脈からしてなかなか難しいものがある。

まあ、ちゃんと伏線を拾ってることは間違いないんですけど。

しかしながら実はこのオチには数字のマジックがあって、1ユーロっていくらぐらい?って知識があるかないか、が結構重要だったりするんですね。

私は見終わったあとで換算してようやく解せた。

さて、おもしろかったのか、否か。

つまらなかったわけじゃないんですが、もうちょっと色々なにかあってもよかったんですよ、といったところでしょうか。

だから何?と言ってしまえないこともない一本道なストーリーテリングが、漏れる含み笑いでカバーできていたか、というと微妙なところ。

嫌いじゃないですが。

ルーマニアの作品を気軽に見れてしまう昨今の環境自体は感謝すべきかとは思いますけどね。

余談ですがエンディングのテーマ曲がぶっとんでます。



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