アメリカ 2014
監督 アダム・ロビテル
脚本 アダム・ロビテル、ギャビン・ヘファーナン



認知症をわずらった老婆の「それが病気のせいである」とはとても言い切れない謎の奇行を描いたホラー。

至極日本的な感覚で量るなら、いいのか?ってのは普通にありますよね。

超高齢化社会を迎える国内において認知症といえば笑えない社会問題ですから。

それをホラーとして仕上げてしまう感覚がもう、まさにアメリカというか、割り切りかたが半端じゃねえ、というか。

映画は映画、現実は現実って共通認識が浸透してるんでしょうか。

これを日本でやった日にはあちこちから批判が殺到しそう。

ただ、それらの、つっつくと色々問題ありそうなあれこれを脇においておくなら、題材として斬新であったことは確かだと思います。

誰がボケたばーさんを主役にして映画を撮ろう、と思いつくんだ、って話であって。

大学の研究チームが認知症の学術的研究のために老婆に密着する、という物語の設定も良かったように思います。

POV形式の記録映画風であることに違和感がない。

普通にドキュメンタリーとしてもみれてしまいそうな馴染み易さがあるんですね。

これ、安直にリアルライヴ感狙いで乱立するPOV形式に対する食傷をうまくかわしてる、と言えるように思います。

謎が謎を呼ぶ展開も恐怖を煽る上でよく練られてるな、と感じさせるものがありました。

やっぱり絵的にね、ばーさんが物理で解釈できない動きをしたり、夜中に半裸で庭掘ってたり、って怖いわけですよ。

これは身近な人間が壊れていく心理的恐怖と、ホラー的な怖さをうまく重ね合わせている、と思いました。

いやまあ、ほんとひどい話なんですけどね、そこまでやるのか、って意味では。

ただですね、この作品、私の感覚で言うとちょっと前半で医学的見地による断定が過ぎたかな、と思える部分があって。

やっぱり、それが認知症によるものなのか、それとも別の要因によるものなのか、って、最後まで明らかにしちゃいけなかった、と思うんですよ。

これは病気とは関係ない、と最初にはっきりさせてしまうと、後はもう怪異という一本道を進むしかなくなるわけですから。

どうしても超常現象的なテリトリーですべてを解き明かすことを余儀なくされてしまう。

物語の顛末に意外性を含める余地がなくなっちゃうんですよね。

実際オチも、まあ、こんなところか、って感じでしたし。

怖くなかったのか?と言えば決してそんなことはなく、近年見たホラーの中では秀作だったとは思うんですが、それなりに辻褄を合わせようとするがあまり、終盤で無理がたたってるようにも見えた、ってのが正直なところ。

とりあえずばーさん役のジル・ラーソンはほんとよくがんばった、と思います。

まさに怪演。

そこだけに着目するなら確かにトラウマ級かも。





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