アメリカ 1996
監督、脚本 ウェス・アンダーソン



精神疾患を患い入院していた主人公が、バカな友達にそそのかされて強盗をやらかしてしまうお話。

アンダーソン監督の劇場デビュー作でもあります。

ま、一言でいうなら初監督作から変。

ロイヤル・テネンバウムズ以降の高い構成力はまだこの段階では見受けられませんが、現実から遊離してあらぬ方向をぼーっ、と見てるような感覚はすでに顕著。

のめりこめばのめりこむほどスカされる、とでもいいますか。

そもそもですね、精神を患ってた人間がいきなりダチと強盗って、なんでそんな素っ頓狂にも極端な行動に走るんだ 、って話で。

精神疾患の設定、必要だったか?と思える部分も濃くあって。

かと思えば、潜伏先のモーテルで客室係と熱烈な恋に落ちる展開もある。

普段の私なら、一体何をどうしたいんだ、とクソミソに酷評してただろうと思うんですが、なんかね、これ、つっこんでもしかたないな、と思わせる空気がどこかあるんですよね。

ボタンの掛け違いをあえてやってる風な。

基本、登場人物達の会話、噛み合ってる様で全然噛み合ってません。

それが確信犯的なものなのか、監督の頭の中では噛み合ってるのか判別はつかないんですが、根本的なところで、グラスいっぱいに注がれた酒をこぼさずに客に運ぶ意識が欠落してるから、差し出された空のグラスを見てこっちは笑うしかない、という。

そこはうまく文章で表現できないんですけどね、なんか色々破綻したままなのにそれを気にせずひたすら進む感覚がまったくもって普通じゃない、ってのは感じましたね。

意外と今のアンダーソン監督の作風をしっくりこない、と思っている人ほど本作には好意的かもしれません。

思いのほかじんわりと胸にせまるラストシーンなんかも用意されてたりします。

ある意味、まだ荒削りな部分が逆に魅力に思える作品ですね。

なんかもう完全にパースが狂ってる絵なんだけど、その絵でしか表現できない物語、というのが一番妥当な気もします。

まあ、私は嫌いじゃないです。





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