イギリス/アメリカ 1985
監督 トビー・フーパー
原作 コリン・ウィルソン



もう珍作としか言いようのない二線級のオカルトSF。

けれど当時はその手のファンの間で結構話題になり、今も語り継がれてたりするんだからあなどれないというか、いい時代だったなあ、と目を細めてしまう、というか。

ダン・オバノンやアラン・ヒュームといった実力も知名度も兼ね備えたスタッフが制作陣に名を連ね、トビー・フーパーがメガホンをとるという最強の布陣で、80年代最先端のSFXを駆使した作品であることは間違いないんですが、やはり問題はプロットであり、シナリオ展開でしょうね。

まあ、ハレー彗星の尾に隠れるように存在する地球外生命体の宇宙船を地球の探査船が偶然発見し、その内部に潜入する序盤の流れは割と良かったんです。

おお、本気で宇宙SFだ、とわくわくするものがあった。

古来より凶星として忌む天体であったハレー彗星に乗組員不在の謎の宇宙船、というアイディアそのものがいい。

嫌が応にも期待は高まる、ってなもの。

でもね、ほぼ廃墟と化した宇宙船の内部にいきなりカプセルにおさめられた全裸の美女を漂わせちゃあいかんだろう、と私は思うわけです。

いきなり胡散臭さマックス。

ここからどう転んでもまともにはならない、とこの段階で確信。

まあ、結局全裸の美女は異星人の吸魂鬼だったわけですけど。

そこはもう早々と作品タイトルでネタバレ。

地球人の生体エネルギーをばんばん吸い上げて舞台であるイギリスの町をゾンビだらけにしちゃうわけですな。

もう、凄まじいまでの安っぽさで、この物語をいったいどこからどう受け止めてやればいいのかあれこれ悩んでしまうほどである。 

また作話がどうにも適当かつ、いい加減で。

矛盾だらけ齟齬だらけのままもっともらしさ皆無でひたすら暴走。

どこからつっこめばいいのか皆目見当がつかぬほど。

挙句に全裸美女の吸魂鬼と地球人のパイロットが何の根拠もなく惹かれあって情交をかわすシーンにいたっては、正気かトビー・フーパー、とあたしゃあっけにとられた。

真面目に書くなら、SFにおける想像力の膨らませ方、というのを監督はまるでわかってない。

いくら特殊効果や派手な絵ヅラにこだわったところで、ありそうにないことが本物っぽくはならないわけで。

ただね、侵略SFにゾンビものを絡めてカタストロフを演出しようとする構想そのものは悪くはないと思うんです。

そこは後続に数々のヒントを与えたんじゃないか、と思ったりはしますね。

マニアにしかおすすめできない一作ですが、頭からっぽにしてバカ映画を見るつもりで取り組めば逆に楽しめるかも。

そうまでして見なくてもいい、って話ですけどね。

余談ですが、かの淀川長治さんはバンパイア役マチルダ・メイのおっぱいのことしかこの映画の解説で語ってなかったらしいです。

さすがは先生、茶碗の底にこびりついた飯粒をこそぐかのごとく、なんとか褒められそうなところを掬い上げなさる。

うむ、感服です。

・・・・淀川長治の話で締めてどうする、私。





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