イタリア 2015
監督 エドアルド・ファルコーネ
脚本 エドアルド・ファルコーネ、マルコ、マルターニ



ある日突然「神父になる!」と宣言した息子に当惑、翻弄される父親の姿を描いたコメディタッチの人間ドラマ。

さて、なぜ父親があわてだしたのか、というと、本人、大病院の外科医で、当然息子も医学の道を進むもの、と思いこんでいたから。

その息子の言質をきっかけに、父親の傲岸不遜な生き方、家族が抱える問題が次々と浮き彫りになっていきます。

父親は息子を洗脳した奴がいるに違いないと、ある神父に接触を図るんですが、それですべての問題は解決するのか、 本当に神父は蒙昧な輩なのか、ってのがこの作品の見どころ。

あ、バランス感覚がいいな、というのが私の印象。

やっぱりこの手の宗教を扱った映画って色々難しい、と思うんですよね。

ちょっと匙加減を間違えると、キリスト教を啓蒙したかったのか?といぶかしむような内容になってしまう。

それを監督は、宗教だからといってただ閉鎖的で前時代風なわけではない、信じる信じないは別として、それが心を軽くしてくれるケースもあるんだ、と訴えます。

いうなれば価値感の多様性。

あなたが絶対と信じ込んでいるもの、それこそが宗教よりも宗教的なのだ、とした語りかけは閉塞した現代社会に対するある種のアンチテーゼのようにも私の目には映りましたね。

劇中、父親と神父はあれこれやりあったりするんですが、決してお互いの全てを理解したわけじゃないし、立場を違えるわけでもない、というのもやりすぎてなくていい、と思った。

それが、信じるものは違えど、双方が歩み寄ることは可能だろう、とした言外のメッセージをうっすら浮かび上がらせてくる。

根底に横たわるのは、ささやかな気づき、寛容さが人生を豊かにするんだよ、としたごく当たり前でささやかなモノローグ。

またエンディングが秀逸。

急転直下の展開を経て、あんなシーンをラストにもってくるのか、と舌を巻いた。

なかなかあそこで終わらせてしまう選択は出来ないと思うんですよ、心情的に。

なんと潔い、と思ったのと同時に、肝心の父親がなにもしてやることができない状況が、まさにタイトルGOD WILLING、神様の思し召しを思い起こさせて見事。

良作だと思います。

初監督作でこれだけやれたら上出来じゃないでしょうか。

ファルコーネ、元々は脚本家だけあってキャラの作りこみもうまい。

キャッチコピーにある「最強のふたり」を引き合いに出すのはちょっと違う、と思いますが、見て損はない一作だと思います。





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