アメリカ 2016
監督 ポール・グリーングラス
脚本 ポール・グリーングラス、クリストファー・ラウズ



ジェイソン・ボーンシリーズ第5弾にして、マット・デイモンのシリーズ復帰作。

いや、普通に面白かったです。

実はこの「普通に面白い」ってのが、私にとっては結構重要なことで。

というのも私の場合、ジェイソン・ボーンにそれほど思い入れもなければ執着もないから、なんですね。

過去3部作は一応全部見てるんですが、まあ及第点な暗殺者もの、という印象しか残ってません。

これは決して否定しているわけではなくて。

質が高いことは認めるがそれほど好みじゃない、という、ひとえに嗜好の問題でして。

マット・デイモンにあんまり魅力を感じない、というのも大きく影響しているように思います。

こればっかりはね、もう、どうしようもない。

生理的な実感に根ざす話だから。

なので自然と興味は、マットのスター性を除外した作品の完成度そのものに向くわけですが、こりゃなかなかあなどれないなと思ったのが、全編に渡って緻密に描写されるCIAとボーンの情報通信技術を駆使した近代的攻防、その駆け引きでしたね。

いや、おおよその想像はついてはいたものの、街中の監視カメラからスナイパーのスコープに至るまで、すべての映像がCIAの作戦本部に送られて、雌雄を決するための重要なデータとなる、ってのは、やはり実際に映像で見せつけられると驚かされるものがあるわけです。

こんなのもう、逃げようがないじゃないかと。

その絶望感、スリルの演出は卓越したものがあったように思います。

一切、緊張感が途切れないんですよね。

特に作戦室での、もっともらしさやデティールにこだわった細やかな描写は説得力充分。

個人がどうこうできる状況じゃない、と感じさせるところにボーンの超人性をかえって浮き彫りにする仕掛けがある。

これはやっぱり巧い。

正直ね、シナリオはたいしたことないと思うんです。

まあ、ありそうな感じのリベンジもの。

けれど、どっちがどう出し抜くのか、という緊迫感だけで最後まで退屈することなく見れてしまうんですよね。

また、CIAの新しい職員を演じるアリシア・ヴィキャンデルを実は見かけどおりの優等生な才媛ではなく、腹に一物かかえた怜悧で表裏のある女、としたのも上出来だったと思います。

童顔と中味の落差が新しいサブキャラとしちゃあ過去作以上の存在感でしたね。

唯一気になったのはアクションシーンの撮り方でしょうか。

これ、ハリウッドじゃ常道なのかもしれませんがカット割りが細かすぎて何が起こってるのかよくわからないんですよね。

ダメだ、ってことではないんですけど、個人的にはもう少し長回しでひいて撮る構図があってもよかったんじゃないか、と思った。

矢継ぎ早すぎてかえってメリハリを感じられなくなるというか。

本作、決してシリーズ最高傑作とか、新時代のアクションというわけではない、とは思いますが、マットが出演していない4作目を除いて、ここまで1作も凡作を撮ってない、ってのは素直に賞賛すべきかと思います。

ただマットに依存するのではなく、ちゃんと作品なりの見どころがある、というのを私は評価したいですね。





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