ドイツ 1996
監督 マルティン・ヴァルツ
原作 ラルフ・ケーニッヒ



もしコンドームとそっくり同じ形状のクリーチャーがいたら・・・という奇想を映像化したドイツ屈指のバカ映画。

いや、これもうドイツ云々どころか、バカ映画界屈指、といった方がいいかもしれませんね。

私が記憶する中でもここまで大真面目にバカを貫いてる映画って、ちょっと他に思い出せない。

なんだろ、一応ジャンル的にはゲスなスプラッターホラーになるんでしょうか?

というのもキラーコンドーム、その餌は男性の一物だから、なんです。

KC(キラーコンドーム)、普段はこっそり普通のコンドームに混じっていかがわしいホテルに身を潜めてます。

ターゲットは利用客。

訪れたカップルがいざ事に及ぼうと、それを装着した途端「ギャー」で血飛沫、かみちぎったナニをくわえ込んだまま室内をゴキブリのように右往左往するKCのパフォーマンスは、世の男性諸氏にとって思わず股間を両手でおさえこんでしまいたくなる地獄絵図なんじゃねえかと。

ていうか、いったいこれどんな絵ヅラなんだよ、って。

冒頭からあまりのインパクトに目は点、発想のあまりのくだらなさに腹筋は痙攣して臨界点突破です。

やがてラブホテルを中心に次々と増えていく被害者。

事件を解決すべく乗り出したのはシチリア島出身のハードボイルドな刑事、マカロニ。

もうね、言うことがいちいち渋い。

なんかっつーとモノローグで憂いに満ちた想いを語りだします。

ただしマカロニ、ゲイです。

本人ガチムチなんですがプライベートではジャニーズ系の若い男娼を買ったりもします。

男娼にむかって「もう恋することに疲れたんだ」とニヒルなセリフを吐いたりする。

結構濃厚なキスシーンやお互いをまさぐりあうシーンなんかもあったりして、いったいこれは何の映画なんだ、と途中でだんだんわからなくなってくることもこのバカ映画の気の触れた特徴。

かと思えば捜査本部で本部長が「もう16本もちんこなくなってるんだぞ!どうする気だ!」と捜査員にはっぱをかけてたりする。

野郎の濃厚な愛撫シーンに辟易したかと思えば、下品極まりないセリフの数々にいちいち爆笑させられ、頭の中はまさにカオス状態。

そんなある日、果敢にも単身KCに挑んだマカロニ刑事が片金を食いちぎられる、という悲劇に見舞われます。

さて、片金ゲイとなったマカロニはいかにしてKCを壊滅させるのか?が本作最大の見どころ・・・って普通の映画なら多分私、言ってるところなんですが、そこはもうあえて逆説的に断言しよう、全編見どころだらけであると。

とりあえずクライマックスはさらにバカさ加減が加速する、とだけ記しておきます。

ちなみに今回あらためて見てみてちょっと発見だったのは、きちんと起承転結にこだわった構築性があったことや顛末に硬直する思想を諷する物腰があったこと、さらには意外にもラブロマンス的な側面も兼ね備えていたことですかね。

いやそりゃもちろんゲイのラブロマンスなんですけどね。

ただね、作中でマカロニはそれを一切恥じてないし、監督もそれが特別なものである、という描写をしてないんです。

ごく平然とゲイの恋路をバカの坩堝にひょい、と投げ込んでる。

ひょっとするとこれこそが真のLGBTのあり方を高らかに謳いあげている事象に他ならないのでは!と、ふいに思ったりもしたんですが、うん、考えすぎだね。

ま、どこまでもチープですし、あんまり真面目に見ちゃいけないとは思うんですが、ゲイとKCを掛け合わせることで阿呆な着想一発勝負に終わってないところを私は評価したいですね。

えっ?評価するのか?私?

余談ですがKCのデザインはあのエイリアンをも手がけた御大ギーガーです。

絶対片手間に酒飲みながらやった仕事だと思う。

カルトにして奇怪、大バカにして下半身ボーダレス、日々の営みに疲れたときなんかにはぴったりの一作かと。

あ、そうそう、ちょっと感動的なこと、終盤でマカロニが言ってたりもしますよ。

ちゃんとドラマチックな演出にも余念がない。

いや、嘘じゃないって。





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