ベルギー 2008
監督 エリク・ヴァン・ローイ
脚本 バルト・デ・パウ



パーティーの夜、とある豪奢な一室を前にして、4人の男たちに1人の男が弁舌をふるう。

「どうだ、いい部屋だろ?実はこの部屋の鍵は5つある。何に使うかは俺たち5人それぞれの自由さ。どうする?この鍵を受け取るか?」

そそのかしたのは金持ってそうな建築家で、ロフトのオーナー。

戸惑いながらも鍵をポケットに入れちゃった4人の男たち。

それがすべての始まり。

えーまず、この時点でですね、私は、は?みんな鍵受け取っちゃうの?と唖然でしたね。

だって全員が妻帯者なんです。

嫁がいるのに秘密の部屋をこっそり共有する、ってやばすぎるだろう、と。

なんら安全性を高める措置も周到に計画してる様子はないですし。

私なら100%の確率でバレる自信がある。

そんなのどう考えてもこっそりとうまい具合に男の隠れ家として機能するわけがない。

現実問題として、鍵を持ってるという事実だけで「女連れ込んだりしてないし、なにもなかったんだ!」と言い訳したところで誰も信じやしませんよね。

ささやかな自由を得る以上にリスクがあまりに高すぎる。

しかも5人の人選、これがもう友達だからという理由を根拠に恐ろしくルーズなんです。

もし私が首謀者なら絶対リストから外す人物が最低でも2人。

こんな危ない橋を信頼だけを糧に石橋も叩かずに渡ってる時点で、後のトラブルは火を見るより明らか。 

案の定、ある日ベッドに女の死体が。

そりゃそういう事態も起こりうるわ、とさして大きな驚きもなし。

早い話がですね、この作品に登場する主要キャラ男性5人組、全員バカなんです。

端から見てて、もうちょっと考えて行動しろ、と呆れる他ない。

よって序盤から一切共感もできなければ、感情移入することもなし。

故に以降の展開もさして強い興味を抱くことができないまま。

またね、この5人組が適当に一夜の行きずりの恋を後腐れなく楽しめるような連中だったらまだマシだったんですけどね(適性という意味で)、どいつもこいつも全くもって不器用で他人の情婦に真剣になったり、ナンパした女と上手に別れられないような奴らばっかりなんですよ。

うまく事が運ぶはずがない。

いったいなにを描きたかったのか、ほんと理解に苦しみますね。

破綻することが前提であるとしか思えないキャラ設定及び状況設定で、はい破綻しました、さて犯人は誰?って、誰でもいいわそんなもん!としか言いようがないわけで。

まさかこいつが、ってなギャップなり、二律背反な意外性があるからこそ謎は謎として機能するんであって。

バカの自爆っぷりが楽しめるのはコメディだけでしょうが、と。

悪いことはできないものなんだよ、と戒めたかったのかもしれませんけどね、そんな説教は他所でやってくれ、と。

わざわざ映画にそんなこと教えてもらうまでもないわ、って。

ま、ロフトの所有者である建築家がある目的のためにあえて他の4人に部屋の鍵を押し付けた、という解釈もできなくはないかとは思うんですけどね、だとしてもやっぱり秘密保持対策の適当さには間が抜けてるとしか言いようがなく、大きく認識を覆す程でもなく。

一応ね、最後にはあっと驚くどんでん返しが待ち受けてはいるんですが、これもねえ、あんまり集中できなかったせいもあってか、さほど響いてくるものはなし。

そもそも真犯人の動機が私にはいまいちわかりにくかったんですよね。

逆恨みなのか羨望なのか、それとも屈折した愛情なのか、いい年した嫁もいる中年がそこまでやるか?と疑問。

この作品をベルギーでは10人に1人が見たらしいですが、そこまでの出来か?と正直思いますね。

女優さんの表情の捉え方とか、さりげない会話の台詞回しに、あ、うまいな、と思える部分はあったんですが、うーん、私はあんまり評価できないですね。

これを凡庸だとは言いませんが、私の感覚では物語の前提に納得できない、それに尽きますね。

なんとなく松本清張の愛憎渦巻くドロドロなサスペンスを思い出したりもしたんで、ひょっとしたら清張ファンな人たちには意外とストライクかもしれませんけどね。





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