スペイン 2012
監督、脚本 オリオル・パウロ



遺体安置所から忽然と消えた死体の謎を追うサスペンス。

結論から先に書いちゃうと、決して悪くはないんです。

悪くはないんですが、引っかかる点がいくつかあって。

それが私のこの作品に対する評価をどうにも難かしくさせてます。

まず一番疑問だったのは、死体が安置所から消えたぐらいであそこまで大々的に警察が動くか?と思える点。

前提として何かに驚いて安置所を飛び出した警備員が出会い頭にトラックへぶつかって重症を負った、というのがあるんです。

けれどそれって交通事故なんですよね。

交通警察のテリトリー。

それをわざわざ刑事課が横からしゃしゃり出てきて一帯を封鎖するまでの非常線をはったりするか?と。

なんせスペインのお話ですから警察の職務事情もまた違うのかもしれませんが、実質の被害は死体が消えただけ、といういわば盗難事件で、あれだけの人数の警官がやってくる、って普通に考えてやっぱり変だと私は思うわけです。

そこまで警察は暇じゃねえだろう、と。

しかも連続殺人事件の犯人を追い詰めるような真剣さで死体である女性の夫を拘束、詰問したりするんですよね。

これ、弁護士立てて争ったら越権捜査で勝てるんじゃないのか?と思えるレベル。

早い話が現実味がない。

オチから逆に考えるならね、ここは誰か担当刑事の独走的捜査にするべきだった、と私は思うんです。

それを第三者が別の視点から俯瞰する。

そしたらそれが衝撃的結末を支えるひとつの布石になったはずなんです。

そこをすっ飛ばしてるものだから最後のどんでん返しにもいかんせん、とってつけた感が漂う有様となる。

やっぱりね、オチをあかしてから、実はこういう経緯があって死体の女の夫は翻弄され、ターゲットとされていたのだ、とするのはミステリの世界じゃ反則だし、横紙破りだと私は思うんですよ。

いうなれば後出しジャンケン。

なんでもできてしまうわけですから、それをやってしまうと。

結局、構築性及びリアリズムなんですよね。

物語そのものもプロットも良くできてます。

あっ、といわされるだけのポテンシャルは充分に秘めてる。

ただ、どの段階で伏線なりヒントなりを匂わせて、張り巡らされた糸をどういう形で収束させるか、その作法にテクニックがない。

なにがミステリにおいて観客をミスリードするお膳立てとなるのか、それをわかってない節も見受けられた。

脚本家あがりの監督の未熟さが露呈した一作、そんな印象を受けました。

料理の仕方のよっては大傑作になったミステリでは、と思えるだけに残念。





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