アメリカ 1999
監督 スパイク・ジョーンズ
脚本 チャーリー・カウフマン



「15分間だけ他人の頭のなかに入れる穴がある」というアイディアは非常に面白かったように思います。

それが何故か実在の役者であるジョン・マルコヴィッチに限られる、という設定もばかばかしくてシュールでいい。

これってスターの生活を覗き見てみたい、という盗撮願望と、自分以外の何者かになりたいという変身願望を同時に満たすものなんですよね。

そりゃそんな穴が本当にあったら私だって入ってみたい。

それをサイドビジネスにしてしまう主人公たち、という筋運びも話の膨らませ方がうまい、と思った。

いかにもスラップスティックな悪ノリが笑える、というか。

これ、いったいどうオチをつけるつもりなんだろう、と最後まで予想のつかない意外性に満ちていたのは確か。

また、いちいち丁寧に細かい小ネタを仕込んでくるんですよね、監督は。

15分を経て強制退去させられる場所がなぜか郊外の自動車道路の脇だったり、チンパンジーの回想シーンがあったり、自信満々の聴覚障害な専務取締役がいたり。

特に考えなしに見てても楽しい、ってのはやっぱり強みだろうと。

7と1/2階のフロアでの出来事、という舞台設定も意味なくかがまなきゃならん描写がおかしいだけでなく、良質なファンタジーの導入部のようでもあり、ああ、よく練られてるなあ、と思いましたね。

ちょっと残念だったのは、終盤のSF的な展開がやや整合性に欠けたこと。

辻褄が合わない点があるんですよね。

故にラストもなんだかスッキリしない。

まあこれはマキシーンとロッテ夫妻の性倒錯気味な恋路の行方に説得力がないせいもありますけど。

特にマキシーンは人格が破綻気味に思えた。

あと、個人的には、せっかく現実世界に実在するジョン・マルコヴィッチという役者を本人役で登場させる、というメタなことをやってるんだから、メタなりにね、もっと現実をデタラメに巻き込んで全く別の場所に着地点を見いだして欲しかった、と言うのはありました。

このオチだとマルコビッチが本人役である必要性がそれほど高くない。

そこはチャーリー・シーンでお茶を濁すんじゃなくて。

独創的で、高いオリジナリティを誇る作品であることは否定しませんが、幾分詰めの甘いところもある、というのが正直なところでしょうか。

チャーリー・カウフマンという奇矯な脚本家を知る上では、抑えておくべき1本かとは思うんですけどね。





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