香港 2008
監督、脚本 デニス・ロー



サモ・ハン・キンポー主演のマフィアもの。

まあ、お話的には武闘ヤクザ組織の栄枯盛衰を描いたありがちなもので、格別どうこう言うこともないです。

かつての東映ヤクザ映画とか、スカーフェイスあたりを想像してもらえればそれでOK。

ある種の定形ですね。

どうなるのか8割方先が読める、という。

わかっちゃいたんですけどね、わかっていながらなぜこの作品を手に取ったのか、というと、サモ・ハンって、デブゴンとかジャッキー、ドニー・イェンとの共演以外ではどんな感じなのかなあ、と、ちょっと興味があったもんですから、つい衝動的にね、興味本位というか。

とりあえずマフィアのボス役はあんまり似合わない、というのは確認できましたね。

やっぱりなんか「いい人」なオーラが全身からにじみ出てる、というか。

どんぐり眼な下膨れ顔で凄まれても、つい「本気じゃないんでしょ?」なんて思ってしまう。

わりと非道なセリフ平気でいうんですけどね「皆殺しにしろ!」とか。

でも怖くない。

それがどこか作品を緊張感のないものにしていた、というのは否定出来ないように思います。

どっちかというとミスキャストでしょうね。

ただシナリオはセオリー通りながらもそれなりに凝ってて。

組織を崩壊に導く裏切り者をじわじわとあぶり出していく展開は決して悪くない。

香港映画お得意のアクションシーンも殺し屋役のウー・ジンが頑張ってて、退屈はしません。

ポン刀片手に高速な体捌きで雑魚キャラを片っ端からぶった切っていく殺陣シーンは、血糊の大サービスもあって迫力満点。

ちょっと意外だったのは、終盤でボスの妻ソソがサモ・ハンに積年の恨みをぶちまけるシーンが、この手の映画らしからぬ「熟年夫婦の気持ちのすれ違い」を見事表現しきってたこと。

ソソを演じる女優さん(誰なのかわからん)の熱演も素晴らしかったんですが、一連の台詞回しが、長年心の奥底に押さえ込んでた妻の夫に対する愛憎を鋭くえぐりとってて、監督、メロドラマのほうが向いてるんじゃないか、などと思ったりもした。

あとは最後の最後にとってつけたように付け加えられたサモ・ハンVSウー・ジンの格闘シーンですかね。

えー!このままサモ・ハンはアクションなしで終わるの?と、意気消沈してたらやってくれましたよ、さすがに香港映画はわかってるな、見てる人の気持が。

すごいです。

とても56歳のデブの動きじゃないです。

そりゃ早回ししてるんでしょうけど、あの体型で足がウー・ジンの胸元まで上がる、ってだけで私は拍手喝采。

でまた、格闘シーンになった途端、急にサモ・ハンの顔つきが変わるんですよね。

シリアスな別の顔をのぞかせるんです。

それを普段の演技でやらんかい!と、つっこみたくなるところですが、やっぱり生粋のアクションスターなんでしょうね彼は。

うーん、私結構好きかもな、この作品。

全体を見通すなら決して抜きん出ているものがあるとは言い難い。

でも、場面場面で上手に観客をくすぐりやがるんですよね、このデニス・ローって監督は。

ちょっと残念だったのはテレビ映画のような映像の質感なんですが、それをマイナスしたとしてもサモ・ハンのファンなら楽しめる気がします。

たまにはこんな映画もいいんじゃないかと。





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