1999年初出 伊藤潤二
朝日ソノラマ眠れぬ夜の奇妙な話コミックス



なんでタイトルが富江part3になってるのか当時は困惑したんですが、おそらく、最初に単行本化されたハロウィン少女コミック館を底本として再編集された、伊藤潤二マンガコレクション全16巻が「富江」「富江part2」のタイトルで発刊されたから、なんでしょうね。

昔から作者を追ってるファンとしちゃあ、思わず1と2を探しそうになってしまうわけですが、もうすでに全部読んでますよ、って話。

こういうややこしいタイトルの付け方は混乱するだけなんでほんとやめてほしい。

商売としてもあまり上手だとは思えませんね。

きっとこの本だけが時間が経てば経つほど忘れさられていく存在になることは間違いないでしょうし。

まあ、いいんですけど。

全7作が収録された内容なんですが、相変わらず富江、超生命体ぶりが健在です。

若干パターン化してきたきらいはあるんですけどね、それでも「もろみ」は秀作だと思いますし、富江シリーズ初の連作「通り魔」「トップモデル」「老醜」はなかなか読み応えがあり。

もう人外の存在なのか何かの象徴なのかわけがわからなくなってきてはいますが、富江の「老い」に着目した上記3作は、どう落とすつもりなんだろう、とちょっとドキドキさせられましたね。

以降、現在に至るまで、富江シリーズは私の知る限りでは描かれていないはず。

結局その正体は謎なまま、10年以上に渡って描きつづられ、肉片と血飛沫を撒き散らしてきた富江ですが、最後の単行本となったこの一冊を読んで私が思ったのは、富江ってのは実は「女」そのものだったんじゃないか、ということ。

ひどく誤解を招きそうな言い回しでアレなんですけどね、男がふと異物として感じる自分とは違う性別の生き物の総体であるような気もしましたね。

異論噴出でしょうけど、きっと。

オーラスとしては少し寂しい演出だったようにも感じますが、長年のファンなら持ってて損はなし。

またいつか分裂増殖してくれる日を心待ちにしてます。



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