イタリア/フランス 2013
監督 パオロ・ヴィルズィ
原作 スティーブン・アドミン



あるひき逃げ事故の犯人を、同じ時間を過ごした三者の視点からあぶり出していくミステリ仕立ての人間ドラマ。

三つの章からなる構成で、章ごとに主人公が変わる群像劇風の作りになってるんですが、質そのもの関して言及するなら一切文句なし、ですね。

キャラの描き方、その内面の掘り下げ方もしっかりしてるし、登場人物たちの関係性をわかりやすく把握させるための算段にも技巧が感じられて。

結構入り組んだ物語なんですが、過剰な説明を必要としない語り口のうまさがあるんです。

また、章が変わるごとに、あの場面であの人物は本当のところなにを考えていたのか、少しづつ実態が明らかになっていくのも驚きに満ちていていい。

普通ね、同じ時間、シチュエーションを、違う視点、角度から何度も繰り返して観客に見せつける、ってかなりリスキーだと思うんですよ。

やっぱりどうしたって飽きてくる。

またこの場面からかよ、みたいな。

そこをどうすれば退屈に感じないか、監督はすごく考えて撮ってる、と思いましたね。

それでいて、同一時間軸でのリピートが謎解きの役割をも果たしてる、ってんだからこりゃほんと大したもんだなあ、と。

濃厚なドラマが背景にある、というのも好印象でした。

富豪の奥様のアバンチュールを追った第2章だけで軽く映画1本撮れるレベルだと思いましたし。

さらには、錯綜する人間模様がある1点に集約するクライマックス、これがまた衝撃的で。

うわー、どう落とすつもりなんだ、と意味なくアタフタさせられたり。

この時点で私の中では問答無用の傑作認定。

で、肝心のエンディング。

そりゃ期待はもうパンパンですよ。

落とし所はどこだ、どこへ行くんだ、ってなもの。

ところがだ。

ラストシーン、何を思ったのか、クライマックスは軽い脅かしみたいなもんですわ、と監督、ものの見事にスカしてきやがるんですね。

はあ?とはてなマークが飛び交う脳内。

これだけの濃ゆいドラマと精緻な謎解きを散りばめておきながらオチがそれかよ、と。

これね、オチから全てを読み解くなら「底辺は所詮底辺」って突き放してるだけだと思うんですね、私は。

そんなこと映画から教えてもらいたくもないわ、って話であって。

それが「人間の値打ち」ってことか?と逆に腹立たしく思えてきたりもして。

なにか見落としてるのかもしれません。

そんな身も蓋もないようなことをわざわざ手間隙かけて映像化する意味が私にはわかりませんし。

ただ、なにかを拾い忘れてる、としてもあのラストシーンはないんじゃないか、と正直思います。

終盤までの高い完成度はいったいなんだったんだ、と。

不可解、その一言につきますね。

私の「おもしろかった気持ち」を返してくれ、って感じ。

もうちょっとやりようがあったんじゃないか、と思うのは私だけでしょうか。





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