アメリカ 2016
監督 モルテン・ティルドゥム
脚本 ジョン・スペイツ



他天体に移住するために、巨大宇宙船にて冷凍睡眠状態で120年の旅路につくはずが、機器の故障で90年早く目覚めてしまった男の悲運を描いた作品。

といっても内実は「青い珊瑚礁」とかあのあたりの、無人島で二人きり、もう文明社会には帰れない、さあどうする?をじっくりと追ったラブロマンス、と言っていいでしょう。

物語の舞台を航行中の宇宙船に差し替えただけ、と言ってしまえばそれまで。

でもね、これが思いのほかよくできてるんですよね。

まず、ストーリーラインの核になる部分として、男はアクシデントで目覚めたが、女はなぜ似たような時期に目覚めたのか、ってのがあるんです。

その理由そのものが、恋の行方をわかりやすく予想通りの場所に着地させてはくれない。

墓の下まで秘密を持っていくつもりなのか?それとも?ってところでやたらハラハラさせられるんですよね。

善悪ははっきりしてるんです。

でも、それを正論でスパッと割り切れないシチュエーションとした点に作劇のうまさ、引きのたくみさがある。

ああ、宇宙船という絶望的に逃げ場のない空間、とらえどころなくただ過ぎてゆくだけの時間を見事に舞台装置として活かしてるなあ、と私なんかは思った。

別にこれと言って新しいパターン、というわけじゃないんですけどね、物語の器と題材がズレなくぴしゃりと収まってる感じがするんですよね。

またこの作品、ラブロマンスでありながら、贖罪の物語でもあって。

死にも勝る罪を、どう贖い、どう許すのか、が後半のテーマ。

そりゃまあ、ご都合主義的な部分は過分にあります。

けど、シナリオ運びが丁寧で無理がないから許せてしまうんですよね。

ああいう形で追い詰められちゃったら心揺さぶられても仕方がない、となんか納得できてしまう。

何を描こうとしてるのか、明確に定まったものがあるから多少胡散臭かろうが、王道だろうがブレないし、他所見することがないんですね。

そこは監督の腹が据わってるな、と私は思った。

振り返るなら、この作品の訴えたかったことって、人生ってのはどこに居て、何をしていようが、所詮は旅の途中であり、必要なのは良き伴侶だ、ってことだったと思うんですよ。

そんなあたりまえが、シンプルだけど大事なことなんだとばかりにSF的図式から浮かび上がってきた映画でしたね。

宇宙船の個性的なデザインや、内部の造形も秀逸。

やりすぎない無機質な感じと未来感が2001年宇宙の旅を思い出させた、というのは褒め過ぎでしょうか。

ジェニファー・ローレンスの熱演も素晴らしかった。

最後の選択が何をもたらしたのか、ラストシーンのミスマッチな絵ヅラが心優しく多幸感にあふれてるのがなんかいいです。

良作だと思います。

どう転ぶのか予測のつかないスリルもたっぷりで、私は結構好きですね。





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