アメリカ 2014
監督 アドリアン・ガルシア・ホグリアーノ
脚本 エリック・ストルツ



盲目の退役軍人が、たった一人で襲い来る狼男軍団を迎え撃つアクション・ホラー!みたいな感じでプロモーションされてますけど、それを真に受けて見ると「なんか違う感」が結構強かったりします。

ま、一応、過大でも嘘でもないんですけどね、基本物語の作りが狼男VS盲目軍人に重きを置いてない、というのがまずあって。

近年、同じく盲目の退役軍人を無敵のサイコ野郎として描いたドントブリーズという傑作がありましたが、似た設定ながら本作が決定的に違ってるのは「追うものと追われるものの恐怖」を演出しようとしていないこと。

単にハンデを背負った老人が、昔取った杵柄でクリーチャー相手に盲滅法な戦いを挑んでるだけなんです。

そこに盲目ならではの工夫や、戦いを有利に導く地の利なんてものはほとんどない。

ほぼ当たって砕けろ的な。

普通に考えて勝てるわきゃないですよね。

偶然と運のよさに頼るしかない時点で、バトルの緊張感は限りなく薄っぺらいものに。

けれど監督はそれをフォローする気も補完しようとする気もさらさらない。

じゃあ、なんのために狼男と退役軍人の戦いを作品の題材としたのか、というと、実はこれ、息子とうまくいってない偏屈老人の深い苦しみを昇華してやるため、だったりするんです。

だから老人は勝てなくてもいい。

そもそもが過去の自分が犯した罪から自分を救ってやるための代償行為だから。

そう、この作品って、ホラーに見せかけた家族ドラマであり、晩節の引き際をテーマとした人間ドラマ、というのがその本質だったりするんですね。

はっきり言って狼男はかなりの飛び道具。

だいたいなんでそんな訳のわからんもんが寂れた僻地の住宅街にいるんだ、と言うところからしてよくわからないわけで。

だって居るんだからしかたない、って感じでそのまま有無を言わせぬ感じなんですね。

いやね、戦争の傷跡に苦しむ老人のドラマは思いのほかじっくりと丁寧に描写されてるんですよ。

そこは充分見ごたえがあった、と言っていい。

スコップを杖代わりにする盲目老人、というキャラクター造形も秀逸だったと思いますし。

やはり難点は、なんでこのストーリーに狼男をぶち込もうとするのか、という点でしょうね。

これ、強盗でも無法な暴れ者でも充分差し替えは可能だった、と思うんです。

むしろそっちのほうがドラマはカタルシスを伴ってさらなる広がりをみせたはず。

センスの問題、その一言ですね。

食い合せの悪さが本当に伝えたかったことをわかりにくくしてる一作。

珍妙と揶揄されても仕方がないかも。

ボタンの掛け違いに気づけば良作に化けたかもしれないのになあ、とは思いますけどね。





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