アメリカ 2016
監督 トラヴィス・ナイト
原案 シャノン・ティンドル、マーク・ヘイムズ



中世日本の世界観をそのまま引用して少年の冒険譚としたストップモーション・アニメ。

これが外国人の手で作られた、と言う事実には素直に感嘆ですね。

ものすごく勉強してる、と思います。

もちろん作品では日本を舞台とした物語である、だなんて一言も言ってないんですが、普通に見てて「あ、これ、どうやら日本の話みたいだな」と思える、ってのがすごい。

たいてい外国人が日本を舞台とすると無国籍アジア風になっちゃう、と思うんですよ。

そりゃね、微妙に中国混じってるな、と思える場面もあるんですけどね、ここまでデティールや小道具、美術にこだわった映像作りを見せつけられちゃあ、揚げ足を取る気も失せるというもの。

まさかアメリカのアニメで「精霊流し」のシーンを拝むことになるなんて、私は予想すらしませんでした。

しかもちゃんと精霊流しの意味がわかってるんですよ、制作陣。

日本の文化に対するリスペクトがないと、決してここまでのことはできなかったように思うんですね。

安っぽい言い方ではありますが、これもう身元を伏せて「ネオ時代劇」って国内で喧伝しても十分通用する気がしますね。

そこは高く評価するべきでしょう。

ただね、私が少しひっかかったのは子供向けだと考えたにしても、さして深みのないストーリーテリングでして。

お供を従えて最強の武具3種を手に入れるための旅に出る、って鉄板中の鉄板な黄金パターンですしね。

私なんて途中で西遊記だか桃太郎だかのパロディなのか?と疑ってしまったほど。

でね、オチがまたゆるいんです。

昨今の米映画お得意の家族愛を主題として掲げるのはかまわないんですけど、絆を取り戻すにしたって登場人物たちの内面の変化をとらえることなく大団円では説得力もクソもあったものじゃなくて。

お供2人の正体がまた安直でね。

ありていに言うならドラマ不在。

これね、なにが欠けているのかを指摘するのは実は簡単で、失敗の原因は主人公であるクボの成長物語にしなかったことに他なりません。

クボが旅を通して何も知らない少年から、勇気と深い慈しみを学んだ少年に変わっていくプロセスを描こうとしてないから内容がペラペラになる。

だから「別に武具いらねえし、旅しなくても良かったし」って簡単につっこめてしまうんですよね。

冒険の旅が壮大な回り道をしてただけとしか映らない。

やたら「物語、物語」と連呼するシナリオもセリフが多い割には、あさっての方向に情報過多なだけで興ざめでしたし。

器は素晴らしかったです。

ただ器に盛られた料理がいただけない。

ジブリの凄みを逆に思い知ったりもした一作でしたね、ビジュアルが素晴らしかっただけに残念。