フランス/ベルギー 2016
監督、脚本 ジュリア・ディクルノー



ベジタリアンとして育てられた少女の、肉食への渇望をエキセントリックに描いた作品。

裏テーマは、大人になりつつある少女の「性への目覚め」と言ったとことでしょうか。

序盤、獣医学部の寄宿舎に入寮して環境が変わることによって、主人公が徐々に変わっていく様子が映し出されてますんで、最初は「学園ものホラーなのかな?」と思ったんですが、どうやらそうでもないみたいで。

もっと内面の深い部分での欲望やら葛藤やらをじっくりあぶり出したかったみたいです。

なんとなく昔のデヴィッド・クローネンバーグやデビッド・リンチを思い起こさせますね。

禁忌を踏み越えてグロめにアンチモラルな感じが。

どっちかと言うとホラーというより、サイコな心理ドラマなんでしょうけど、難点は物語のリードの仕方があまり上手じゃない点でしょうか。

エスカレートしていく自分の行動に主人公自身が手をつけられなくなってエンディング、だったらわかりやすかったと思うんですけど、割とあっちへフラフラ、こっちへフラフラとストーリーが1本道じゃなくて。

非情に重要なキャラである姉の描き方もあんまりうまくない。

姉の存在そのものが伏線になってなきゃならないんですけど、そういう描写が一切ないものだから、終盤の展開にどうしてもとってつけたような印象を抱いてしまう。

正直私はちょっとまどろっこしいな、と感じたりも。

ま、一応ね、驚きのオチが待ち受けてたりはします。

なるほど、そういうことだったのか!と膝を打つことは請け合い。

ただね、このオチ、結構紙一重です。

主人公が大人になるまで、肉親のシャツ1枚下を一切見たことがなかった、って、あまりに無理がありすぎやしませんか?と。

風呂でかちあったりとかもなければ、夏に海もプールも家族で行かなかったのかよ!って。

意欲的な作品だとは思います。

でもまだ色々足りてない。

フランス映画らしいと言えばらしい作品なのかもしれませんが、この題材でこのオチなら、もっとスピーディーにスリルを重視した方が良かったように感じましたね。

佳作でしょうか。