イタリア/フランス 2017
監督 パオロ・ヴィルズィ
原作 マイケル・サドゥリアン



認知症を患う夫と、末期ガンで余命いくばくもない妻の思い出を巡る旅を描いたロードムービー。

もう見る前から「こりゃどう考えたって救いはねえな」って感じなんですが、まあ、大方の予想どうりの結末を迎えるというか、こう落とす以外にないよなあ、というエンディングで「ああやっぱりそうなるか」という感想を抱く人は結構多そう。

ただ、この作品が特徴的なのはそれを決して悲惨きわまりないタッチで描写してはいない点ですかね。

コメディ調というか、悲喜劇風というか。

もちろん現実がそんなに調子よく運ぶはずもないことはみんな知ってるとは思います。

でもネガティブになるだけではなんの解決も導き出せない、としたスタンスは、希望とまではいかないにせよ、諦観にも似た肯定があるような気がするんですよね、私は。

そこに「慰められて」もいいとは思うんです。

失うこと、なくしてしまうこと、どうにもならないことを、それでもなんとかしなきゃ!って、頑張らなくていい、としたメッセージ性は少なくとも伝わって来ましたね。

もちろん誰しもがこんな風になれないのは確かなんですけど。

終末医療のあり方、子は親をどう見送るべきか、高齢化社会に一石を投じた内容、というと、ちょっと褒めすぎかもしれませんが、色々考えるきっかけにはなるように感じましたね。

ちょっと残念だったのはラストシーン。

もうちょっと余韻があっても良かったんじゃないの?と首をかしげたくなるほど淡々と事後描写に終始してて、なんだか監督の意図がよくわからなかったり。

やってることはアメリカン・ニューシネマに近いと思うんで、最後にもう一山欲しかったところですかね。

ま、私はドナルド・サザーランドのファンなんで、老境の彼が見れただけで満足ではあるんですが。

サザーランドとヘレン・ミレンの名演が見れただけで良しとしましょうか。

ヨーロッパの映画らしくない一作ですが、パオロ・ヴィルズィが高い評価を受けた人間の値打ち(2013)より私はお気に入りですね。

いやこれ、笑っていいのか?ちょっと悩んだりもする映画なんですけどね、たまにはこういうのも見ておいた方がいい、そんな風に思いましたね。