アメリカ 2018
監督 デヴィッド・リーチ
脚本 レット・リース、ポール・ワーニック、ライアン・レイノルズ



さて、一作目はそれほど高く評価してなかった私ですが、予想外にも2作目で息を吹き返してきましたね、このシリーズ。

こりゃやっぱり監督のデヴィッド・リーチの手腕によるもの、と認めざるを得ないのかもしれません。

やってることは前作とほぼ変わらないんですが、なんというか、すべてがしっくりきてるんですよね、前作に比べてはるかに。

前作は「さあ、ふざけますよ、笑ってくださいね」って感じだったんですが、今作はしつらえられた作為的悪ふざけを全部仕切り直しにかかってきてる印象を少し受けました。

「しかたないじゃん、俺、こういう人間だし」みたいな主人公の開き直りがあからさまなんですよね。

ろくでもない人間だけど超人的ヒーローだし、それなりのことするしかないし、というやさぐれた人物像の不真面目さが、みんなの思い描くアメコミ・ヒーロー像とのギャップとして上手に機能してるんです。

そこに「おもしろいことをいう可笑しい人」から「人間そのものが変で笑える人」への変遷がある。

極論ですけど、そりゃ笑いにおいて「天然」は無敵ですよ。

デッドプールが天然だとはいいませんけどね、まるで天然のように思えてくる変人ぶりの演出が一作目に比べて格段にうまくなってる。

だからおなじみのきわどいトークも嫌味に聞こえないし、わざとらしくない。

早い話がデッドプールというキャラに血が通い出してきたと言えるんじゃないかと思うんですね。

どこかホラーギャグを想起させるスプラッターな場面の数々も突き抜けてていい。

マッドな感じがアメコミらしくなくて私は好み。

アベンジャーズみたいにチーム化するのかな?と思わせておいて、それ自体がオチになってる中盤の展開にも爆笑。

でね、私が最も驚かされたのは、デッドプールというろくでなしの純愛を終盤にかけて本気で描こうとしてる節があったこと。

これは危なかった。

さんざん笑わせておきながら最後の最後にあんなシーンをもってくるなんて反則じゃねえかよ!と、あたしゃ危うくも涙腺が決壊しそうになった。

デッドプールで泣いてたまるか!と歯を食いしばって目頭をおさえることだけは回避しましたけどね。

ま、辛い過去を持ち、マスク1枚下はあばた顔の異形である、という人物設定を勘定に入れるなら、ちょっと調子良すぎなキャラすぎない?と思ったりもしましたが、それすらも「死と隣合わせであるがゆえの虚無」と解釈できる物語の作り込みがうまくカバーしてる気がします。

個人的にはここ数年のアメコミ映画の中じゃあベスト、といっていい1作ですね。

この作品自体がアメコミ映画へのアンチになってるように思えなくもないんで、ベストってのはちょっと齟齬があるかもしれませんけど。

しかしマーベル、恐るべしだなあ。

こういうおふざけも立派なアクション大作に仕上げてしまうってのが、衰えぬ人気の秘訣かもしれませんね。