2011 フランス
監督、脚本 エリックトレダノ オリビエナカシュ

 

事故で首から上しか動かなくなった富豪の中年男フィリップと、望んだわけではないのにその身のまわりの世話をする羽目になったスラム出身の黒人青年ドリスの物語。

うわー多分泣かせにかかってくるんだろうなあ、感動させようと躍起になってるんだろうなあ、と思ってたんですけど、微妙に違った。

もちろんそういう演出はあります。

ただ、それよりも、この作品が臆することなく問いかけているのは、あなたは障害者に対してどう接するのが正しい、と思ってますか、という点。

変に言葉狩りに走ったり、腫れ物扱いの一部マスコミの人間、むやみに障害者を奉り上げる一部団体には、本当にこの作品、見て欲しい、と思う。

ドリスは首から上しか動かせないフィリップに「セックスはどうするんだ」「俺ならそんな状態になったら死ぬ」と遠慮仮借なく話しかけ、「本当に何も感じないのか」と足に熱湯をぶっかけたりとか、滅茶苦茶やります。

虐待スレスレ、と言っていいでしょう。

しかしそれでいて同時にドリスは、車での移動時に、フィリップを車椅子ごと荷台に乗せたりするような特別扱いを決して良しとしません。

自分の手で助手席に必ず座らせます。

彼はフィリップを「荷物じゃないんだ」と言い切り、彼をきわめて自然に1人の人間として扱います。

ドリスは、一般の健常者が障害者を前にして、あ、しまった、ってな表情、まずいことを言った、ってな狼狽を全く見せないんですね。

二人が徐々に打ち解けていく様子は、障害者、健常者の垣根を越えて、普通に胸温まるものがあります。

すべてのケースがこんな風にうまく行く、とはもちろん思えません。

ただ、ハンデを背負った人間に対して、我々はどう接するべきか、さらにつっこんで言うなら、友情とはどう育まれるものなのか、そのささやかなヒントがこの作品には隠されているように思います。

名作でしょう。

エンディングの素敵なドリスのいたずらは、ひねくれものの私ですら心打たれるものがありました。





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