イエスやクリムゾンと並んで英国の代表的なプログレバンド、とみなされてますが、私の感覚ではそれほどややこしいわけでも複雑怪奇なわけでもない、というのが率直な感想です。

初期のシドバレット在籍時のアルバムなんか、普通にサイケデリックロックで、プログレのプの字もありません。

フロイドがプログレバンドとして認識されたのはやはりこの原子心母の影響が大きいでしょうね。



本当にふざけたジャケットなんですけどね、オーケストラを招いて制作されたこのアルバムはロックシンフォニーとして当時、不動の評価を得ます。

ただまあ、正直なところを書きますと、私が初めてこのアルバムを聴いて思ったのは「長いよ」でした。

耳を奪われる美しい展開やはっとする瞬間は多々あるんですが、ロック色が希薄なのが当時の私には少し退屈に感じられました。

「シンフォニック」ロック、というより、「クラシック」にひたすら近接したロックなんですね。

圧巻の組曲ではあるんですが、フロイドと言うバンドのパーソナリティはあまり嗅ぎ取れなかった。



私がフロイドに完全にはまったのはこのアルバムから。

圧倒的に曲が良い、というのもありますが、やっぱり凄いな、と思ったのは楽曲の空間演出の見事さですね。

決して複雑なことをやっているわけではないんです。

強烈な技巧に目が眩むわけでもありません。

なのにサウンドに「絵」が透けて見えるんですね。

コンマ数秒の神がかり的なタイミングでギターが切り込んでくるのにも鳥肌がたった。

ほんの半呼吸ほどの差がここまで楽曲の色を変えるのか、と戦慄しましたね。

結局私はフロイドと言うバンドを通してデヴィッドギルモアに心酔したのかもしれません。

それが証拠にロジャーウォーターズが主導した「animals」「Wall」「fainal cut」、全くいいと思えなかったんですよね。



実質デヴィッドギルモアのソロアルバムであるフロイド再始動作ですが、私にとっては「wish you where here」以来の会心の作でした。

やっぱりギルモアは凄い、と溜飲を下げた1枚。


シドバレットの数奇な人生にまつわる逸話や、社会風刺に富んだ歌詞、派手なライヴ演出等で、実態が見えにくいバンドではありますが、私の感覚では、フロイドがプログレ的だったのは「モア」「ウマグマ」「原子心母」ぐらいで、後にスターダムに上り詰めて以降は、誰にもまねのできないサウンドを構築する個性的なロックバンド、に過ぎなかったように思います。

なにをもってプログレとするか、はなかなか難しい命題だとは思いますが、プログレってややこしいんでしょう?と思ってる人がいたら先入観に囚われずまずフロイドを、と私はオススメしたい。

こういう音もプログレって、言われてたりしちゃうんです、という代表例がフロイドであるような気がします。



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