香港 2011
監督 ピーター・チャン
脚本 オーブリー・ラム



この内容で邦題「捜査官X」はないだろう、とやや憤慨。

アクション映画ファンにアピールしたかったのかもしれませんが、「捜査官X」のタイトルで多くの人が想像する物語とはかけ離れていることは間違いないです。

舞台は1912年の中国雲南省の田舎。

質素で平和な村で突然起こった強盗事件を巡り、ミステリタッチでストーリーは進行していきます。

私が最も驚いたのはこの作品が、法とはなにか、罪とはどう償われるべきなのか、を問うている点でした。

安易にアクションに逃げず、きちんと人間の心の暗部に切り込む姿勢があるんですね。

物語のプロット自体はそれほど新鮮味はありません。

どこかで見たような印象はつきまといました。

ですが前述したような細やかな描写やミステリの流儀にのっとった丁寧なシナリオが作品の色合いを濃く、鮮やかに彩っていて、たぶんこうだろうな、と予想される展開ですら異様な緊迫感を産み出しているんですよね。

とりあえずドニーイェンの演技、素晴らしいです。

当代有数のカンフーアクションスターでありながらここまで登場人物の心の機微をセリフに頼らず豊かに表現できる人って、アジア圏では居ないと思う。

金城武、完全に食われてます。

タン・ウェイの押し殺したような演技も素晴らしい。

エンディング間近になってようやくドニーのソリッドな格闘シーンが披露されますが、今回はこれぐらいでちょうど良かったと思います。

いつもの調子で派手にやりすぎると作品全体のバランスを崩しかねない。

確信はないんですがドニーはイップマンからなんか化けたなあ、と思いますね。

俳優さんとして一皮剥けた、というか。

ドニー主演作のなかでは屈指の名作だと思います。

もっともっと話題になってもいいと思います。





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