アメリカ 2014
監督 クリストファー・ノーラン
脚本 ジョナサン・ノーラン、クリストファー・ノーラン



ゼログラビティといい、最近のハリウッドはなんだか妙に宇宙づいてるなあ、なんて思ったりもしたんですが、そこはクリストファーノーラン、さすがに一筋縄ではいきません。

SFのプロットとしてはですね、決して新しいわけでも斬新なわけでもないと思うんです。

人類がもはや生存に適しなくなってしまった地球の代りに外宇宙の新天地を目指す、というストーリーはありがちで手垢気味、とすら言っていいかもしれません。

ワームホールや5次元、相対性理論による時間の進み方の違い、といったガジェットも古臭い、と言えなくもないです。

2014年のSFらしくですね、まだ見ぬ想像力の翼を広げて見せてほしかった、という思いはやっぱり最後まで私の中にありましたし。

絵的にも思った以上に地味です。

宇宙空間を航行する絵はまだしも別の星系の惑星の風景なんて、とても他天体であるとは思えません。

まあそこはあえて奇抜さを狙わず、リアリティにこだわる監督の意図もあったのかもしれませんが。

じゃあ一体何がこの作品の見どころなのか、と言う部分ですが、引き裂かれた数十年の空白を繕う親子のドラマもさることながら、やはり私はSFでしか表現できない時間と空間を越えたエンディングを演出したことに他ならないように思います。

ちょっと都合が良すぎるのでは、と思える部分はあるんです。

ですが、バイナリ信号を送っていたのは誰か、そして、最後に老女の枕元に立ったのは誰か、というこの作品最大の見せ場はですね、ただ目の前の現実に拘泥しているだけではとても絵にすることのできない想像力の結晶であるように私には感じられました。

そこに至るまでの道筋を、決して嘘くさくならないように、決して子供だましにならないように苦心して作り上げた手腕こそがまさにクリストファーノーランでしょう。

なんだかなあ、と言う人も大勢いるのでは、と思ったりしますが、私は好きですね、この映画。

ダークナイトほど超絶、と言うわけではありませんが、ノーランにハズレなし、はまた更新されたように私は思っています。

ファンタジーに毒されぬ本物のSFであることは間違いありません。





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