フランス 1991
監督 ジャン=ピエール・ジュネ、マルク・キャロ
脚本 ジャン=ピエール・ジュネ、マルク・キャロ、ジル・アドリアン



核戦争後の未来のフランスを舞台にしたSFなんですが、これ、言われなければわかりません。

私、長い間この作品は架空の世界を描写したファンタジーみたいなもの、と思ってました。

独自の映像世界が話題になった作品ですが、ベースになっているのは1950年代の古めかしい日常の風景であり、小道具なんで、サイバーな雰囲気とか近未来のテクノロジーとか全くありません。

いったい、いつ、で、どこ、なんだ?って感じ。

それこそが監督の狙いだったのかもしれませんが。

貨幣に代って物々交換が主流となった食糧難の時代が描かれているわけですが、監督らしい毒はまき散らかされているものの、基本コメディで、眼鏡の娘の純愛が物語の核なんでそれほど構える必要はありません。

随所に仕掛けられた登場人物達のばかばかしいやりとりや、音と演者の動きをシンクロさせたベーシックな笑いが楽しいです。

肉屋のオヤジの見事なマッドブッチャーぶりと、発想のぶっ飛んだ奇妙なキャラクター達も見どころのひとつですが、この禁忌を描いた物語を、どこかかわいらしく、キュートに演出してしまうのがやはりジュネの凄さでしょうね。

普通は忌まわしいホラーにしかなりません、これ。

ブラックなコメディ、と言うのが一番わかりやすいか、とは思いますが、ブラックさの狭間で不思議に美しい花を咲かせるセンスが私は好きですね。

長編デビュー作としては充分な独自性をアピールした作品だと思います。





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