1952年初出 手塚治虫



あとがきによるとカレルチャペックの山椒魚戦争をヒントに描かれた作品らしいですが、オープニングのスペクタクルな展開は山椒魚戦争というより現代ハリウッドにも通ずるダイナミックさでド迫力なように私は感じました。
 
まだSFという言葉すらなかった(あとがきより)時代によくぞここまでやったものだと思う。
 
地球と同一軌道上を公転する惑星ディモンがその公転周期を突如早めたため人類に発見され、地球はそのディモンの接近によって津波暴風などの天変地異にみまわれる羽目になる、という展開は冒頭から震えがくるようなとばしっぷりで、SFファン鳥肌で轟沈。
 
物語のオープニングからいきなりカタストロフです。
 
当時の読者にはほとんど理解されなかった、といっておられますがわからなくもありません。

映画の世界にだってこんな大風呂敷な作品は52年にはなかったのではないでしょうか。
 
ストーリーはその後、惑星ディモンの先住者である鳥人と人類が覇権をかけて争うことになるのですが、細部はともかくとしてコンパクトで良くできている物語だと私は思いました。

もっともらしくあちこち修正してやれば充分現代でも通じる内容。

手塚先生が後の作品でも使う「ロック」というキャラが初めて誌面に登場したのも本作ではないでしょうか。

主役の割に微妙に屈折してるのがこれまた「ロック」らしい。

これまた初期の傑作。

漫画の神様たる才気ほとばしる一作。




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