フランス/イタリア 1968
監督、脚本 アンリ=ジョルジュ・クルーゾー



クルーゾー、最後の監督作品。

現代美術のギャラリーを運営する青年の、おかしな倒錯趣味に徐々に惹かれていく人妻の揺れ動く心理を描いた作品。

文章だけで読むと安いポルノビデオみたいですが、男女の心のひだをじっくり描いたシナリオは、なんだよ、単にSMチックなプレイにのめりこんじゃった変態奥様の話でしょ?といった揶揄をうかつに口にしにくい張りつめた雰囲気があったりします。

露骨なエロは描写されず、演出や小道具で小出しに煽るやり方はさすが、と褒めるべきなのか、まわりくどい、というべきなのか。

終盤、男の抱える闇と、女が本当に求めていたものが浮き彫りになる仕掛けなんですが、残念だったのはそこからストーリーが発展しなかったこと。

なぜエンディング、唐突に女があのような有様になっちゃったのか、私にはよくわかりませんでした。

やたらカラフルでサイケデリックな絵作りは古さを感じさせず、特に女の幻覚を描写したシーンは斬新だと思いましたが、 どこかすっきりしない、というのはありましたね。

巨匠クルーゾーが最後に監督した作品のテーマがエロスだったことは興味深い、とは思いますが。






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