1972年初出 手塚治虫



手塚版お釈迦様の一生なわけですが、各方面の評価の高さとは裏腹に私は、こりゃやっぱり「絵解き」だよなあ、と思う次第です。
 
先生にしか描けなかったブッダ、では決してないように感じるんですね。
 
仏典に伝えられるものとの違いはもちろんいくつかあるようですが、それは創作上の演出の問題で改変されたに過ぎず、大きくは多くの人々が伝え聞くブッダ、そのままをマンガにしただけのように思えます。
 
とりあえず仏画のブッダの姿形までマンガで模倣しちゃあだめでしょう、と。

先生がやるのであれば、仏教、しいては宗教の抱える矛盾にまでつっこんで物語を編み上げて欲しかった。

読んでいて、どこかシッダールタに血が通ってないように感じられて仕方がないんですよね。

教科書の文章を読んでるみたいな感触、というか。

石ノ森章太郎の「漫画日本の歴史」と近い質感を覚えました。
 
ブッダの一生を知る意味では模範的かも知れませんが、おもしろさ、ドラマ性と言う意味ではエンターティメントから大きくずれて、どこか頑なに説諭めいた印象もあるように思います。
 
先生、資料や史実にいささか振りまわされてしまったか、と思ったりもしましたね。




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