1987年初出 手塚治虫



三作ある遺作のうちのひとつ。

背が低いことにコンプレックスを持つ、典型的な仕事人間の主人公が人事異動で南米へ着任し、日本的常識の通じない異国で悪戦苦闘する様を描いたある種のサラリーマンもの。
 
家庭よりも仕事ながむしゃら社員の悲哀を外国文化と対比することによって浮き彫りにしたいのか、それとも家族の絆みたいなものを描きたかったのか、未完なのでわからないんですが、とりあえず3巻の段階で物語はとんでもない方向へ進んでます。
 
政変により、逃亡を余儀なくされる主人公一家が、戦中のまま時間の止まった謎の日本人村に到着。

こりゃ柳田国男なのか、それともSFなのか。
 
多分そのどちらとも違うのだろうけれど、全く先が予測できない、と言う意味で、先生の遺作の中で私は一番この作品の続きが読みたかった。

残念。

これからがストーリーの本筋になるのでは、と思えるだけに評価は難しいんですが、深刻になりすぎない適度のコメディテイストが親しみやすく、好きな作品ですね。



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