アメリカ 1974
監督、脚本 ブライアン・デ・パルマ



デパルマのカタログの中では1、2を争う勢いで大好きな一本。

かの有名な「オペラ座の怪人」を、ロックミュージカルとしてアレンジ、 窯成した作品なわけですが、これがもう半端じゃなくおもしろい。

いかにもロックビジネスの世界ではありそうなストーリーではあるんです。

それを照れ隠しとばかりに、前半はややコメディ調。

ああいるいる、こういうやつ居るわ、とウィンスローリーチの頑迷ぶりに笑い、スワンのいかにもないかがわしさに、よく研究してるなあ、と感心。

俄然エンジンが回転数をあげてくるのは中盤から。

なんだこの怪奇色は、と唖然。

描かれているのはロックという異形と変わり果てたウィンスローリーチのシンクロニズム。

ウィンスローこそが体現者である、といわんばかりにそそのかされ、踊り続ける仮面の男。

奏でられているのはロックにやどるショービジネスの魔に他なりません。

圧巻なのは観客の見守る舞台で巻き起こされる狂乱のエンディング。

現実なのか、それともショーなのか、歓声の渦につつまれ、這い進むウィンスローと、抱えあげられるスワンの絵は狂気漂うサイケデリックさで、鳥肌もの。

見事、の一言ですね。

異形の悲劇をロックという素材で料理した傑作。

またウィンスローの歌うバラードが普通にいい曲で胸を打つんです。

ミュージカルにありがちな、セリフの途中で演者が突然歌い出すシーンが皆無なのも二重丸。

私の中ではロック映画最高峰の1本。





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