1977年初出 松本零士
秋田書店サンデーコミックス 全5巻



著者のスターシステムの中核を担う「ハーロック」が主人公のスペースオペラ。

遠い未来、享楽に明け暮れ外宇宙からの侵略者に対する術を持たぬ堕落した人類になりかわり、ハーロックが自らの宇宙船を駆り敵に抗する、というストーリーの侵略戦争もの。

こんなふぬけた人類に救いの手をさしのべる必要はあるのか?というジレンマを超えて命を賭けるハーロックの生き様にはしびれるものがあるし、かの有名な「男ならダメだと分かっていても戦わねばならないときがある」のセリフに代表される武士道にも似た松本イズムには思わず血が熱くなるものがありますが、残念ながら未完。

一族の総力を結集した敵マゾーン大船団とハーロックの宇宙船一隻ではそもそもが話になんないのでは?といった疑問や、あまりにもカリカチュアライズされた人類の姿にちょっと極端すぎるのでは?と思ったりもしますが、最大の難点は一向に話が進まぬ事でしょうか。
 
しかしそれも道理か、と思われる設定上の失敗が実は本作にはあったりします。
 
そもそもがハーロックというキャラそのものが「反骨」を旨とする「自由」を標榜した存在であるのに、この作品の設定ではオープニングの段階でそれがすでに達成されてしまっているんですね。
 
「自由」を阻害するものが地球にも宇宙にも存在してないんです。

マゾーンと戦うのも放置するのも胸先三寸、ハーロック次第なんです。

なのに「反骨」と「自由」に依りすがろうとすればそりゃ迷走するしかなくなるわけで。

戦わざるをえない、から、少しでも前向きに「人類の再建」に意識が向けばまた展開も違ったんでしょうが、連載中断寸前まで過ぎ去りし過去への回想とマゾーンとの小競り合いに物語は終始。
 
ハーロックが主役、と言う意味では、ファンにとって実に魅力的なシリーズではあるんですが、結局上述した理由と、ストーリーの核となるマゾーンと人類の相互関係の謎も明かされぬまま中断という中途半端ぶりに失望感も隠せません。
 
ハーロックはやっぱり他の松本作品でここ一番に登場、が一番かっこいいのかもなあ、なんて思ったりもしましたね。

余談ですがテレビアニメ版では漫画版の不可解さ、矛盾を補完するかのようにトチローの娘まゆや、切田長官がオリジナルキャラクターとして登場し、物語に深みを与えています。

後の評価の高さはテレビアニメの大きな貢献もあったのかもしれません。

松本キャラとしては出色の存在だと思いますが、本作に限っては、タイトルにその名を掲げつつもそれが上手に機能しなかった印象ですね。




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