1972年初出 石ノ森章太郎
秋田書店サンデーコミックス 全6巻



特撮テレビドラマの原作、と見られがちですが、実は東映の企画が先で、著者はその漫画化を依頼された形。

なので純粋に石ノ森作品、と言うわけではないんですね。
 
しかも本作、著者はネームと下書きを担当しただけで作画は4人のアシスタントが分担。

厳密には東映原作、石ノ森プロ作品、というのが正解。 

著しく購入意欲がそがれる舞台裏事情なんですが、それでもある特定の年齢層の人間にとっては懐かしさだけで思わず手に取ってしまう、ってのはあるでしょうね。
 
それほどキカイダーは当時の子供達にとって突出した特撮ヒーロー像だったと私は感じています。
 
敵役のハカイダー人気も本作を盛り上げた大きな要因ですが、主人公が、不完全な良心回路を持つロボット、と言う設定が当時は実に斬新だった。
 
テレビシリーズと漫画、大きく違いはないんですが、私が驚かされたのはキカイダーの左右非対称なデザインが良心回路の不完全さを象徴したものであること、キカイダーを身体障害者と呼んでしまう著者のアナーキーなセリフ回しでしたね。
 
不完全な心を持つロボットが自己同一性に悩みつつ、同じロボットと闘い続けなければならない宿命は、テレビドラマ以上に漫画作品である本作の方がより深く掘り下げて描かれてます。

そこにぐっと惹きつけられる人もたくさんおられるのでは。
 
正直中盤は中だるみ。

東映の意向もあったのか、重厚なテーマを抱えつつも置き去りなまま、淡々とビジンダーや01登場。

結局キカイダーとはなんだったのか、答えの出ぬまま問題提起で終わってしまったのが残念と言えば残念なんですが、テレビの提灯持ち、とあなどれない本格的なSF的思考性を内包しているように私は思いました。
 
石ノ森章太郎本人の筆で、テレビを逸脱した「本気の漫画作品としてのキカイダー」を読みたかった。

色々もったいない、というのが正直な感想ですかね。




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