1974年初出 藤子不二雄A
中公文庫 全13巻



少年漫画における初のゴルフ漫画らしいんですが、まあなんといいますか、度を越えた荒唐無稽ぶりに爆笑、いやその、目を見張るすさまじい内容になってます。

主人公は猿そっくりの天才ゴルフ少年なんですが、貧乏な家庭に生まれ育ったが故、賭けゴルフに身をやつす日々。

なんせクラブは木の根っこを加工した自作のものを1本所持するのみ。

その1本を日本刀よろしく背中に結びつけ、裏ゴルフ界の強豪をばったばったと負かしていく、というストーリー。

毎回登場するコースもとんでもないものだらけなんですが、それ以上に凄いのが裏ゴルフ界の賭けゴルファー達。

ヌンチャククラブ振り回すやつとかコーラの瓶でショットするやつとか、挙句にはロボットまで出てくる始末。

もちろん必殺技にも余念はありません。

旗つつみやら岩がえしやらモズ落としやらタイガーウッズでも不可能だよ!と言いたくなるスーパーショットのオンパレード。

これでプロじゃない、っていうんだからこの作品におけるプロとはきっと鬼神クラスの超絶な達人達ばかりなのでしょう。

真面目に読んでると頭痛がしてきそうになりますが、この作品が目新しかったのは「アストロ球団」や「侍ジャイアンツ」における「努力と友情のありえないバトルファンタジー」を架空の賭けゴルフの世界でやったことに尽きるように思います。

少なくとも当時子供だった私にとっては、ああゴルフってこういうルールなんだ、こういう世界なんだ、という発見が、あった。

それはそれで微妙に間違っていたりはするんですけど。

のちに少年ジャンプの部数を飛躍的にのばした「リングにかけろ」の雛形ぐらいにはなっていたかもしれません。

藤子Aの少年漫画における代表作であることは確かだと思います。

奇想が楽しい、ってのはあるんですけどね、その境地に至るには百戦錬磨の書家でなくてはならないかもしれませんね。




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