1991年初出 藤子F不二雄
小学館



先生が最後に描いた青年向け漫画。
 
映画化もされ、話題になった一作ですし、あらためて今読むと漫画家が主人公ということもあって、なにかと晩年の先生自身の姿にだぶる、というのはありますね。

色々感慨深いのは確かですが、残念ながら出来は今ひとつ。
 
アイディアもプロットも過去他の短編で何度か使い回したタイムスリップネタの焼き直しに過ぎないですし、予測を裏切る展開もなし。
 
無理矢理ハッピーエンドにしたかのようなエンディングもやや興ざめ。
 
全盛期のF先生ならたとえありふれたタイムスリップものでも鮮やかで、切れ味鋭いオチを決めてくれていた事と思うんですね。
 
86年に大病を患われて以降体調を崩し気味だった、とのことですので、良くないコンディションと戦いながらの一作だったのかもしれません。
 
ファンが盲愛してしまう要素はある、とは思うんですが、こんなもんじゃない、というのはそのファンこそが最もよく知るはず。
 
ただ最後の作品だと思うと、どうしても手放せない、と言うのはあるんです。 

いや厳密には最後の作品は「のび太のねじ巻き都市冒険記」なんですが、その頃私はもう、ドラえもん、という年齢ではなくなってましたし。

私にとっては色んなことに思いを馳せちゃう一冊。

優れた作品ではありませんが、晩節を彩る幕引きの一編として記憶に残る、と言うのはありますね。



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