アメリカ 1992
監督、脚本 ブライアン・デ・パルマ



多重人格者の狂気を描いたサイコサスペンス。

デパルマ初期の作風に戻ったような感触もうける内容ですが、ネタ的には当時話題になった「24人のビリーミリガン」的なものをタイムリー、ととらえたような節もあります。

なんだかんだいって「サイコ」だから、というのは当然のごとく鎮座してます。

もう本当にこの人はどこまでヒッチコックを愛でれば気が済むのだ、といいたくなるぐらい求愛の度合いも加減知らずなんですが、そこをつっこみだしたら全否定するしかないわけで。

それよりも私がひっかかったのはギミック満載な構成。

別人格を実際に画面に登場させてみたり、やたらとフラッシュバックや、夢オチがあったりと、一向にシナリオがすんなり前に進みません。

早い段階で多重人格であることは明かされているので、あとはせめぎあう複数の人格がどう警察の目をくらまし、犯行を完遂するか、が見どころかと思うんですが、なんだか話が行ったり来たりしてるうちにあっさり逮捕。

簡単に言っちゃうなら、どこで盛り上がれと?という話でして。

断片的なピースは終盤にはほぼすべて埋まってるんですが、なぜこのシナリオをこうも面倒くさいやり方で撮らねばならなかったのか、と言う疑問はどうしたって残ります。

小細工するぐらいなら、精神を病んでいるカーターがなぜジェニーをゲットできて、子供までもうけることができたのか、を描いたほうがよっぽど物語の厚みが増した、と思うんですが、そこはスルーされちゃってるんですよね。

エンディングのカーターの行動も不可解。

オヤジの呪縛はどうなったんだ、という。

これまで培ってきたものでなにか実験的なことがやりたかったのかもしれませんが、なんだかごちゃごちゃしてわかりにくいだけ、になっちゃったような気がします。

演技派俳優ジョンリスゴーの演じわけも私はいまいちのれませんでした。

この人、容姿が特徴的過ぎるんですよね。

どんなに達者でも見た目のインパクトが強すぎて全部同じに見えてしまう。

多重人格を演じるにはミスキャストであったように思えて仕方ありません。

オヤジ役はすぐには気づかないほどのなりきりぶりだったんで、やっぱりそぐわない、ってことだったんだろうと思います。

デパルマらしい作品だとは思うんですが、凝り過ぎでしょうね。

何に重点を置くべきか、を見誤った印象。





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