アメリカ/メキシコ/南アフリカ 2015
監督 ニール・ブロムカンプ
脚本 ニール・ブロムカンプ、テリー・タッツェル



ヨハネスブルグを舞台に、人間の警官の代わりに最前線に立つ人型ロボットの悲哀を描いたSF大作。

プロットに全く新鮮味はありません。

研究者の暴走でAIを搭載され、心を持ってしまったロボットが人間とどう向き合っていくのか、というテーマ自体が、近いところではスピルバーグのA.I.で深く掘り下げられてますし、アシモフは言うに及ばず、漫画の神様、手塚治虫も過去さんざん挑戦してる題材。

そこに新たに切り込んでいくのは本当に大変だぞ、と。

そもそもですね、人の代りに警官ロボットを配備する、という設定そのものがコスト的にどうなのか、と。

ましてやヨハネスブルグ。

どう考えても人の命の方が安そう。

ロボの造形もなんだか80年代っぽいデザインでアップルシードかよ、と思ったりもしましたし。

ただ、下層ギャングがチャッピーを教育する、という展開は興味深いものがありました。

多分この作品の唯一の突破口はそこにあった、と思うんです。

シナリオの持って行き方次第では、号泣させられるラストもありえたと思う。

ところがですね、終盤、物語はせっかくのとっかかりを全部ご破算にして何故か研究者とチャッピーのドラマにさりげなくシフトしちゃうんです。

いつのまにか生き延びることそのものが目的になっちゃってるのも唖然。

結局、なにが描きたかったのか、と。

転生をテーマにしたかったのなら、それこそ心であり、パーソナリティが重要なキーワードになるはずなのに、そこを「データ化」であっさり片付けちゃうと、チャッピーの存在自体がAIBOとかとなにも変わらなくなってきちゃうわけで。

いつも思うんですがブロムカンプ、詰めが甘い。

社会派SFなんて言われたりしてますが、私の感覚では社会にもSFにも針が届いていない印象。

ロボットの心の所在を、人との近似値を、多少は哲学的になってもいいからはじき出してこそ、現実であり、社会が浮き彫りになると思うんですが、そのあたり、いかがなものでしょうか。

なんかもう色々とはがゆいですね、私は。





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