1967年初出 楳図かずお
秋田書店サンデーコミックス 



これまた幼い頃に読んで私のトラウマになった1冊。

姫の影武者に仕立てられた少女の悲劇を描いた時代劇なんですが、なにが凄いかって、姫のしぐさ、言動を真似ているうちに徐々に自分自身をコントロールできなくなり、姫そのものに成り果ててしまう少女の心理描写のうまさでしょうね。

とても優しい女の子だったのに、平気で虫を握りつぶしたりするようになるんです。

心は否定している。

でも、そう振舞うことをどうしても抑えることが出来ない。

つまり、人はその立場、環境によって形作られる、もしくは容易に洗脳されてしまう、ということをこの作品は暗に示唆しているわけです。

自分は自分のもの、と思っていた少年期の私にとって、この概念はひどく衝撃的でした。

エンディングがまた悲しいんです。

全く救いはありません。

救いがない故に、優しかった少女の本来の純粋な心があらためて浮き彫りになった、ともいえると思います。

いやもう男性の感性じゃないですね。

よくできた寓話にも近しい傑作だと思います。




comic