アメリカ 2014
監督 アレハンドロ・G・イニャリトゥ



なんともまあ独特な作品。

かつて一世を風靡した映画スターが、再起をかけて挑むブロードーウェイの舞台裏を描いた作品なんですが、メタフィクションともとれるような仕掛けがあちこちにあって、 想像をめぐらせればめぐらせるほどマイケルキートンがリアルさを帯びてくる、という妙な現実味があり。

もちろんバードマン=初期バットマン。

この役柄を演じていてマイケルキートンはどんな心情だったのか、そう思うことがすでに監督の掌の上。

完全に本人とリーガンがダブってます。

私が気になったのはカメラがぐるりと周りを写して元の位置にもどってくるとすでに別のシーンになっていることで、なんだろ、これ、ドキュメンタリー的な臨場感でもねらってるのかしら、それにしちゃあ時間の経過がわかりづらくてちょっと酔いそう、と思っていたら全編ワンカットで撮影されているとか。

どういう意図でそんな撮影手法にこだわったのかがよくわからないんですが、まあたしかに緊張感は途切れません。

弛緩がなくて疲れる部分もありますが。

作品の題材そのものが映画や演劇に深い興味のない人にとっては感情移入しにくい、という難点はありますが、私は役者陣の熱演にぐいぐい引き込まれてとりあえず退屈はしませんでしたね。

欲を言うなら劇中劇である「愛について語る時に我々の語ること」をもう少ししっかり見せて欲しかった、と言うのはありましたが。

劇中劇のシーンだけ妙に絵空事っぽく映ってるんですよね。

終盤の展開は意味深で不可解。

結局リーガンは何を求めていたのか。

彼が本当に求めていたのは舞台の成功ではなくて、他のなにかだったのか。

多くを説明しないラストシーンが物議を醸しそうですが、もしやれるのであれば次はバードマン映像化だろう、と私は思ったりしましたね。

唯一ひっかかったのは最後に批評家が一転して舞台をべた褒めした点。

その理屈でいくと舞台で実際に人を殺さなきゃなんなくなるだろうが、と。

監督の批評家に対する強烈なアイロニーだったのかもしれませんが。

傑作、と言うには幾分あざとさが鼻についたりもするんですが、アカデミー賞を受賞するだけの大作であることは間違いないと思います。





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