1988年初出 石川賢
徳間書店少年キャプテンコミックス 全5巻



山田風太郎調の忍者ものにSFをミックスさせ、挙句には遠く離れた宇宙で太古より続く生命あるものの生存をかけた戦いにまで物語をスケールアップさせた石川賢最高傑作。

後にまとめられた虚無戦記シリーズの中核をなす作品、といってもいいでしょうね。

プロットの大枠は永井豪の「黒の獅士」に微妙に似てなくもないんです。

そこにひっかかる人も中にはいるかと思いますが、決定的に違うのは、やはり目線の高さ、でしょうか。

なにゆえ真田忍群と九龍忍群は存在するのか、御神器とはなにか、ドグラとはなんなのか、そのすべてが上質のミステリを紐解くように、すべて宇宙へ、と昇華していくんですね。

この鮮やかな構成力、緻密極まりないデティール、すべての価値感をひっくり返す衝撃のエンディング、その発想の飛躍の見事さに唸らされる事、しきり。

少年向けの荒唐無稽な忍者もの、と思わせておいて、根底にあるのはゆるがぬSFである点が師匠をも追い越して凄まじい精度である、とでもいいましょうか。

なぜこの作品があまり話題にのぼらないのか、本当によくわかりません。

作画も以前に比べて格段に精緻で亜流のそしりを寄せ付けぬ迫力。

私の感覚ではここが石川賢の頂点。

異形の架空忍者絵巻であり、80年代屈指のSFエンターティメントと推す次第。




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