アメリカ/カナダ 2007
監督、脚本 ブライアン・デ・パルマ



イラク戦争で実際に起こった事件を元に、POV方式やYOUTUBEの映像なども織り交ぜてドキュメンタリータッチに戦争犯罪を問う野心作。

デパルマはイラク戦争の報道が国内で規制されているように感じてこの作品に着手したらしいんですが、私が一番ひっかかったのは、この題材はもう「カジュアリティーズ」でやったじゃないですか、ってことでした。

全く同じなんですね、描いてることは。

もちろんそれが当時のアメリカ社会において問題提起になりえなかったのか、というと決してそうではなく、FOXニュースはヒステリックに上映禁止を呼びかけたらしいですし、なんらかの爪痕は残したんだと思います。

でも映画作品としてどうか、というのはまた別の話であって。

運動の延長線上に映画がある、と言うスタンスを私は許容できないわけです。

そもそもあれだけカメラワークにこだわり、見せ方に固執するデパルマがなぜPOV?と私は著しく疑問であって。

自分の流儀を一端全部ぶっ壊したかったのかもしれませんが、それが効果的に働いてる、とはどうにもいい難い。

ありていにいうなら散漫なんですね。

完成された映画作品としての品格もなければ、ドキュメンタリーとしての臨場感もない。

シナリオもあってないようなもの。

訴えかけてくるものがなにもないんです。

意地悪な言い方をするなら、これは事実っぽく見せたフィクションの羅列でしかない。

戦争が狂気を育むものであることは、この作品を見るまでもなく、多くの戦争映画が語りかけてきたことですし、それでなにか政治が変わったのか、というと、相変わらず世界は暴走を止められないまま富を吸い上げるシステム作りにやっきになってる。

辛辣なことを書くようですが、兵士達の非業の死、その暗澹たる運命を描いたところで何も変わらないんですよね。

新たに戦争映画を撮るなら、そこからもう一度考え直して別の視点から仕組みそのものを描写するべきだったのでは、と私は思いました。

私の感覚では、これはやり口を変えたカジュアリティーズの焼き直しでしかありません。

ファンゆえに失望も大きかった、ってところでしょうか。






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