2014年初出 佐藤洋寿
徳間書店ZENONコミックス 1巻(以下続巻)



警察ぐるみの犯罪に巻き込まれ命を狙われる少年と、巻き添えで少年の面倒を見る羽目になってしまった孤独な殺し屋スズキさんの逃避行を描いたサスペンス風のアクション。

最後まで読んで私が思ったのは、ああ、これはジョン・カサヴェテスの「グロリア」だ、でした。

もちろん舞台は日本で、シナリオもまるで違いますし、作者がグロリアを意識しているのかどうかもまるでわからないんですが、縁もゆかりもない子供を1人の女が命がけで守る、という設定がですね、どうしてもあの名画を思い起こさせる。

今の日本で本当にこういう事態が起こりえて、職業としての殺し屋稼業が若い女に務まるのか、といった部分を考え出すとですね、やっぱりマンガ的だよな、なんて揶揄もありそうですが、私はそれを信じさせてしまいそうになる佐藤洋寿のストーリー運びのうまさにしてやられましたね。

とにかくテンポがいい。

少年と殺し屋の心の機微を細やかに描くのも巧み。

見せ場を作るのもうまい。

なにより画力が高い。

唯一気になったのは殺しを生業とする女の、狂気であるとか、悲哀がまるで見えてこない点でしたが、きっとそれは2巻以降で徐々に演出されることでしょう。

あとは、読者を意識してキャッチーになりすぎるとすべてが台無しになりそうな、危ういバランスの上に成り立っている感触がわずかながらあることがちょっと不安なぐらいでしょうか。

そのあたり、懸念を払拭してくれることを期待して、当分追ってみたい、と思える作品ですね。




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