1970年初出 ジョージ秋山
幻冬社文庫 上、下



もう本当に長い間ジョージ秋山は鬼門でして。
 
まず絵が好きになれない、ってのが大前提にあって、さらにはあけすけに露悪的かつエキセントリックな作風が嫌いってのがその次にあった。
 
もちろん浮遊雲みたいな人情ドラマも手がけられておられるわけですが、それはそれでじゃあ好きなのか、というとこれまた微妙に好みからずれていたりする。
 
ピンクのカーテンや恋子の毎日なんて言わずもがな。

どれもこれもテリトリー外。

初期のギャグ漫画は気になってるんですけど、値段が凄くて手が出せない状態。

評価しようもない状況がずっと続いていたわけなんですが、2009年、銭ゲバがテレビドラマ化されていたと知って、映像化可能なのか?との疑問が今更ながらむくむくと頭をもたげ、今回ようやく手を出すに至った次第。

で、どうなんだ、って話なわけですが、いやあもう、本当に嫌な漫画で。
 
子供の頃に少し読んですぐに放り出した自分の行動が全くもって理解できる救いのなさ。
 
悪徳のピカレスクロマンといえば耳ざわりよいが、ここまで人間や社会を心底憎んでる漫画ってそうないと思います。
 
露悪的どころか、断定的に「悪」。

こんなもの子供が読んだら間違いなくトラウマ。

当時の少年サンデーも本当に無茶をする。
 
物語を楽しむと言うよりは、なんだかスプラッター映画におけるモロ出し感満載のグロさをマニア的に喜ぶしかないのでは、と言う気すらしてきますね。

ただこういう漫画って、なかなか他には見当たらないのは確か。

しいて言うなら当時は白土三平ぐらいしかここまでできなかったのでは、と思ったりも。

誰もこうは描かなかった、と言う意味で、時代性をも鑑み、革新的だったことは認めざるを得ないでしょうね。

でもやはりこういう作品は、ひっそりとマニアに支持される一冊であってほしい。
 
なにも小説だけではなく、漫画にもこういう事が出来るし、夢とか希望以外のドス黒いなにかを訴えかけることは出来るとした挑戦は認めます。
 
ショッキングなラストも含め、マンガ史に残る1冊だとは思ういますが、もう2度と読みたくない、というのは正直なところ。



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