イギリス/チェコ/フランス/イタリア 2005
監督 ロマン・ポランスキー
原作 チャールズ・ディケンズ



19世紀のロンドンを舞台に、救護院から脱走した孤児、オリバーの生き延びるための日々を描いた作品。

いやもう半端じゃなくおもしろいです。

誰の助けも借りられず、わずかな食料以外はなにひとつ持たず、雨露にうたれながら110キロはなれたロンドンへ1人とぼとぼ歩いていく前半のオリバーの哀れな姿からして涙腺がやばい状態に。

完全に気持ちは「はじめてのおつかい」を見守る視聴者の一人。

いや私、あの番組姑息で嫌いなんですけど、たった10歳の子供を誰も助けてはくれない状況そのものを鼻で笑うほどには心根がすさんじゃいないもので。

どうなるんだろう、なんとかしてあげて、って、もうそれだけです。

1人、食い入るように画面に釘付けの状態。

もういいから俺のところに来い、ガキ1人ぐらい、なんとかしてやる、えーと、とりあえず隣の4畳半に住ませて、養子縁組の手続きをして、・・なんて思わず夢想しだすぐらいなんですから、いかにポランスキーが観客に訴えかける見事な演出を施していたか、慮ることができる、というもの。

どこか寓話っぽい色合いもあることが気持ちを高揚させた要因のひとつかもしれません。

徹底してリアリズムを追及しているように見せかけて、シティ・オブ・ゴッドのような陰惨さ、残酷さは描写されてないんですね。

するとどうしたってこの物語には救いがあるはず、と信じたくなる。

やはり白眉はエンディング、フェイギンとオリバーの再会のシーン。

オリバーのセリフに思わず目元からなにかがあふれ出て、あわててティッシュを探す始末。

ああ、フェイギンはなにも子供を道具にしたかったわけじゃないんだなあ、こういう風にしかできなかったんだなあ、と気持ちを揺さぶられましたね。

善なる魂には善なる救いがきっとある、と信じたくなる作品。

ビルですら本当は決して悪人ではなかったのでは、と思ったりもしました。

都合よすぎる、なりゆきまかせ、なんて感じる人もいるかもしれませんが、私は作品を彩る心優しさに胸うたれました。

いや、傑作でしょう。






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