アメリカ 1999
監督 デヴィッド・フィンチャー
原作 チャック・バラニューク



なんだか序盤、中盤、終盤で三章に分けたくなるような内容の作品だ、と思いました。

それほど物語の色合いをくるくると目まぐるしく変化させてくる。

最後まで飽きさせず観客をひきつける技に長けている、と解釈することも可能かと思いますが、私はテーマそのものを鑑みるなら、余計なものを詰め込みすぎたのでは、という気がしなくもありません。

一番疑問に思ったのはタイトルそのものである「ファイトクラブ」。

裸の拳で殴りあう地下クラブにあれほど多くの男が熱狂するとは思えないんですね。

自分がファイターとして当事者になれるぐらいならそもそも不満やストレスを目一杯かかえこんだりしないだろう、と思うわけで。

事故が起きないはずがない、とも思いますし。

勝敗を決することでいらぬ恨みや憎悪をさらに募らせてしまうことも考えられる。

おそらくタイラーダーデンのカリスマ性を描くために用意されたシーンなんだと思うんですが、終盤の展開にスムーズにつなげたいのであれば、あまりかしこい作話ではなかった、と私は感じました。

順序が逆なんです。

まず、タイラーに心酔してからファイトクラブならわからなくもない。

通過儀礼としてのファイトクラブは、特に何の心得もない一般人にとってあまりにハイリスクすぎる。 

秘密結社ありき、のストーリーになっちゃってるんですよね。

さらに私がこれはどうか、と思ったのは、タイラーそのものの描き方。

オチを知ってからあらためて見直すとですね、かなりきわどい描写が点在しているように思うんです。

矛盾を孕む寸前、といってもいい。

なにもかも出来すぎなんですよね、ジャック自身もその周りの環境も。

突然別の作品をつなげちゃったかのような破滅と再生を暗示するラストシーンもよくわからない。

結局ですね、サイコスリラーなわけです、このお話って。

ただそれをサイコスリラーに見せないために装飾されたあれこれが余分な贅肉になっちゃってるんですよね。

半分以上は必要ないシーン、と思ったのは私だけでしょうか。






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