1959年初出 白土三平
小学館文庫 全8巻



史的唯物論を持ち込んだ忍者漫画の歴史的傑作と呼ばれるシリーズ。

かの手塚治虫は白土三平のせいで漫画にイデオロギーを求められるようになってしまった、とぼやいたぐらいだから当時の衝撃は相当なものだったんでしょう。

今回あらためて読み直してみて、なるほど確かにこりゃ60年代の作品とは思えぬドラマ性がある、と唸らされたんですが、それと同時に、広げた風呂敷を破綻なく閉じることに腐心するあまり、魅力的なキャラクターの数々が上手に絡まないままいたずらに物語を進行させてしまったか、と言う印象も受けました。
 
圧倒的なヴォリュームかつ、重厚なテーマが横たわる内容ではあるんですが、さてどこに目線を合わせるべきか若干のとまどいを覚えたりもしましたね。
 
破綻しているとまでは言えませんが、これだけ情報量の多い物語を文庫8巻程度でまとめること自体に無理がある、と思ったりもする。
 
漫画にもこれだけのことが出来ると提示した歴史的な意義はあったと思いますが、カムイ伝と似て群像劇風のストーリーであることから感情移入しにくい、という難点はあったかもしれません。
 
影丸の活躍に焦点を当てて枝葉末節を整え、全体をスリムにすればまた違ったようにも思うんですが、そこまでこの時代に求めるのはあまりに酷か。

プレカムイ伝、といった肌合いもあり。

同年代の他の作品と比べて圧倒的に大人びてるのは確かです。

時代を考えるなら怪物的、といっていいかもしれません。



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