1970年初出 小室孝太郎
集英社ジャンプコミックス 全4巻



侵略SF、パニックSFの傑作として好事家の間で名高い作品ですが、なるほどこれは先駆的作品として伝説化するのもわかる、と納得の一品。
 
とても少年ジャンプ掲載とは思えません。

いったい何の叙事詩なんだ、って言うぐらい長い時間をまたいで物語が紡がれていくのにもびっくりですが、安直なヒロイズムに陥らぬ大人目線のドライさにも感心。

脇目もふらずにきちんとSFを咀嚼しようとする意気込みがあるんですね。

これは相当早かった、と思います。

なんせ「リュウの道」とほぼ同じ時期で、「デビルマン」ですら72年ですから。

漫画におけるSFをどう描くか、という部分で、手本となるのは手塚先生ぐらいしかない状態でよくぞここまでたどり着いたものだと思う。
 
必読はやはりエンディング。
 
きっと多くの少年読者はジレンマを感じたろうし、すっきりしなかったことだろうと思うんですが、今あらためて読んでこそその凄さがわかるとでもいいますか。

なんたる突き放し方か、と。
 
いやこりゃ衝撃ですよ、当時リアルタイムで読んでいたら。

後続のSF漫画に続く、人類に対する深い絶望を内在した厭世観みたいなものはひょっとしたらここが最初だったのでは、と私は思いましたね。

唯一のネックは、経年にさらされ古さを帯びてきたことを除外するなら、あまりに手塚治虫に絵柄が酷似していること、ぐらいでしょうか。

こういう力のある漫画家がジャンプ専属システムの契約に苦しめられ消えていく・・ってのは本当にもったいないと思う。

噂に違わぬ傑作。

余談ですが、ちょくちょく見かける「最初のゾンビもの」みたいな評は厳密にいうと間違い。

「ボディスナッチャー恐怖の街」をゾンビもの、と言ってるようなもの。

2016年現在、気軽に購入するにはなかなか高額で手が出にくい一冊かと思いますが、SF好きなら充分買い求める価値はある、と私は思います。



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