1972年初出 小室孝太郎
高橋書店 全2巻



「ワースト」や「命」の強烈さを期待すると完全に肩透かしをくらうと思います。

学園の番長で、素行不良な主人公悟郎が、なぜか救われない魂をあの世に送る手伝いをする羽目になる、というオカルトファンタジー風な筋立ての作品なんですが、やりたいことは理解できるものの、すべてにおいてどこか中途半端な印象を私はうけました。

まず、なぜ悟郎でなくてはダメなのか、という部分がはっきりしませんし、さらにその肝心の悟郎に指図するメビウスという指導霊自体がいったいどういう存在なのか、というのもよくわからない。
 
救われない魂を送る精霊の国ってのがまた意味不明で。

悟郎の目付け役のしゃべる猫もいったいどういう立場にあるのかさっぱり理解不能。

どことなく宗教的な善を説こうとしているような気配もあって、進みたい方向はわかるんですけど、キャラの役回りをきちんと決めないままただストーリーを進められてもついていけないわけです。

結局基礎というか、土台をしっかり組み立てないうちに上ものを無理矢理のせちゃったんで、少し風が吹いただけで全部ぐらつく、ってな感じでしょうか。
 
よほどのファン向けですね。

こうした紆余曲折があって「命」に至った、と思うと興味深くはありますが。



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