1972年初出 萩尾望都
小学館フラワーコミックス 全5巻



漫画史にその名を残す名作。

20年ぶりぐらいに再読したんですが、こりゃブラムストーカー以降、あまたの吸血鬼を題材とした作品の中でも抜きんでて傑作だ、と思った次第。
 
多くの、いわゆる吸血鬼ものはSFバイオレンスであったり、もしくはホラー的な演出に比重を置きがちですが、その怪物性に着目するのではなく、永遠の命を得た少年の異形の悲しみを吸血鬼という存在を通して描く、という試みをしたのは本作しかなかったように思う。
 
人間を超えた能力が吸血鬼の実存を支えるのではなく、むしろその内面に深く根を下ろしているのは終わらない時間との戯れであり、老いと無縁な少年の日々である、とした設定は革新的。
 
確かにお耽美で、少年愛に抵触するようなシーンも多々あり、そこに拒絶反応が出る人がいるのもわからないでもないが、だから敬遠する、ってのはあまりにもったいない。
 
第1話のおもしろさときたらこれだけ手当たり次第にあれこれマンガをむさぼり読んでる人間の目からしても鳥肌もの。
 
萩尾望都初期の大作であり、吸血鬼ものの異端のロマネスク。
 
単行本5冊分ながら何百年もの時間を自在に行き来する物語はもはやサーガと言って良いスケールとボリュームです。

読むしかないでしょう。



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